不能欠損、収入未済、過年度収入の事務処理方法|公務員の金銭会計
歳入不納欠損
@ 歳入不納欠損とは
「歳入不納欠損」(又は「不納欠損」)(※)とは、既に調定した歳入を、法規の理由により収納することができなくなった場合、市としてこれを欠損扱いとする処分をいいます。この処分は、法規の定めにより納付義務が消滅した債権(金銭債権をいいます。)に対して行うものとなり、単に徴収不能というだけで安易に行うことはできません。
※ 歳入不納欠損の不納は納められなくなったことをいい、不能ではありません。
A 不納欠損額の通知
歳入不納欠損を決裁により決定したときは、財務会計システムで歳入不納欠損決定書を起票します。この決定書は、電子的通知により会計管理者に起票と同時に通知されます。また、起票すると、歳入簿の不納欠損額の欄に金額が表示されるため、必ず確認してください。
B 不納欠損額の決算上の取扱い
決算上、不納欠損額は歳入歳出決算事項別明細書に不納欠損額の欄が設けられています。また、その他決算中で収入未済額を表示する場合は、調定
額から収入済額等を控除して計算しますが、不納欠損額がある場合は、その調定額から、あらかじめ不納欠損額を控除します。
このため、不納欠損額の通知の起票漏れがあると、決算額に影響を及ぼします。そのため、その年度の出納閉鎖期日までに必ず確認してください。
収入未済の取扱い
@ 収入未済とは
「収入未済」とは、当該年度に調定した歳入で、その年度の出納閉鎖期日までに収入されなかったものをいいます。また、その金額を「収入未済額」といいます。収入未済の金額の計算方法は次のとおりです。なお、当該年度に収入未済繰越しとなった歳入も同様に扱います。
収入未済額 =(調定額−不納欠損額)−(収入済額−還付未済額)
= 調定額−不納欠損額 − 収入済額+還付未済額
A 収入未済額繰越しの通知
収入未済が生じたときは、その翌年度の6月 10 日(その日が休日の場合はその前日となります。)までに財務会計システム(※)で収入未済繰越決定書を起票し、その未済額を翌年度に繰越します。
会計室では、その年度の出納整理期間中に、通知期限と伴に収入未済繰越決定書の作成を促す通知を送付しています。このため、出納閉鎖期日までに歳入簿の「収入未済額」の欄を良く確認し、調定決定書の起票漏れなどがないか、又は、正しい収入未済額が決算年度の歳入簿に反映されているか確認をしてください。収入未済繰越決定書の起票後は、決算年度の翌年度の歳入簿の「調定額」の欄に、繰り越した金額が反映されているか、必ず確認してください。
※ 「入力年度」は決算年度の翌年度となります。
過年度収入(地方自治法施行令第百六十条)
@ 過年度収入とは
「過年度収入」とは、その年度の出納閉鎖期日までに徴収されるべき収入について、その年度の出納閉鎖期日時点で収入できず、その後も継続して徴収すべき収入として残る債権をいい、収入未済額は全て過年度収入といいます。また、歳出の過払い又は過渡しに係る戻入金も、その年度の出納閉鎖期日後に残るものも同様です。この過年度収入は、会計年度独立の原則の例外となります。
A 過年度収入の歳入科目
ア 前年度以前の収入未済額
通常、収入すべき年度の歳入科目と同じ歳入科目に収入します。ただし、住民税、軽自動車税等過年度収入用の予算科目を特に定めている場合は、その科目に収入します。
イ 前年度以前の歳出に係る戻入金
過年度収入用の予算科目を特に定めている場合は、その科目に収入します。過年度収入用の予算科目を特に定めていない場合は、財政課に確認をします。この場合、一般的には「雑入」に収入します。