契約違約金の会計年度所属区分
(問) 市と事業者との間で、市が物品を売払う旨の契約を3月10日に締結しました。
市は当該契約に基づき同月20日に当該物品を引渡し、その代金の納期限を4月10日とする納入通知書を3月20日に発送しました。
当該代金は、実際には5月20日に金銭出納員に納入されたので、遅延損害金を徴収することになりました。
この遅延損害金の歳入の会計年度所属区分は、新旧どちらの年度の収入に区分されますか。
(答) 新年度の収入に区分されます。理由は次のとおりです。
(1) 公債権であるか否か
この遅延損害金に係る収入は、行政庁の処分によるものではなく、物品の売払いといった民法上の契約により発生していることから、公債権でなく、地方自治法施行令第百四十二条第三項の規定は適用されないと判断します。
(2) 納期が一定している収入であるか否か
遅延損害金は、履行遅滞により発生するもので、あらかじめ納期を具体的に複数回契約に定めている性質のものではないことから、随時の収入と判断します。
(3) 通知書等を発するものか否か
歳入を収入する場合、会計規則等の規定により、調定の後、原則通知書等発することとなるため、通知書等を発する収入であると判断します。
そのため、この収入が属する会計年度所属区分は、当該通知書等を発した日の属する会計年度と判断します。
また、設問にはありませんが、納入者が通知書等によらず納入した場合は、会計規則第等の規定により、通知書等を発しない収入であると判断します。この場合、地方交付税等に類する収入及び他の会計から繰り入れるべき収入ではないことは明白であるため、領収した日の属する会計年度と解します。
(4) 結論
(1)から(3)までの判断から、通知書等を発するものと発しないもので会計年度所属区分の基準に違いがあることがわかります。
このことについて、設問を改めて確認すると、設問では必ずしも明らかではありませんが、元本債権が5月20日に納入されましたが、遅延損害金は同
日の時点では納入されておらず、早急に通知書等を発するものとなるのか、発しないものとなるのは明らかではありません。
しかしながら、いずれにしても新会計年度以後に、通知書等を発し、又は領収することとなると考えられることから、冒頭の結論どおり、新年度の収入となると判断します。
※ 遅延損害金は、元本債権の納入が遅れたからといって直ちに請求できるものではありません。
これは、請求の根拠となる自治体の例規、契約書等の規定の中に、一定の方法により算定された遅延損害金の金額が、一定額未満である場合等、これを徴収させないこととしていることもあります。
実際に請求の可否を判断する場合には、請求の根拠を確認してください。