債権の申出とは?配当要求との違い|自治体の債権管理

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債権の申出とは?配当要求との違い|自治体の債権管理

債務者が支払不能の事態に陥った場合、他の債権者が先んじて強制執行の手続きを採ったり、債務者自らが破産を申し立てたりすることがある。また、支払不能とは別の理由で、債務者について財産の清算手続きが開始されることがある。

 

ここでは、そのような場合に行う必要のある債権の申出について説明する。

 

1 法令の確認

 

地方公共団体の長は、債権について、債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により当該地方公共団体が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは、直ちに、そのための措置をとらなければならない(自治令171条の4T)。

 

前記履行期限の繰上げと同じく、公債権、私債権、双方に適用がある。但し、実際上、強制徴収公債権については殆ど適用がない。

 

2 申出事由

 

(1)強制執行

 

債務者の財産について、強制執行の開始決定、あるいは差押えがあったときにおける配当要求(民執法51条等)。

 

配当要求できる者は、執行力ある債務名義(執行力ある債務名義とは、執行文が付与された債務名義のこと。)を有する債権者等一定の者に限定されている(強制執行の対象により異なる。)。したがって、債権届出(配当要求)をする必要があるのは、配当要求する資格がある場合だけである。

 

届出期限(配当要求の終期)は書記官が定め、これを公告し、かつ差押えの登記前に登記された仮差押債権者等一定の者に債権届出の催告をする(同法49条T等)。執行力を有する債務名義を有していても通知があるわけではないので、知らない間に期限が徒過してしまう危険がある。官報の公告に注意するか、時々債務者所有の不動産の謄本を入手するなどして注意するしかないであろう。

 

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(2)抵当権の実行

 

債務者の財産について、担保権の実行としての競売等があったときにおける配当要求(同法188条等)。

 

抵当権の実行については、不動産に対する強制競売に関する規定が多く準用されている(同法188条)。配当要求できる者も執行力ある債務名義を有する債権者等一定の者に限定されている。

 

(3)破産手続開始決定

 

債務者が、破産手続開始決定を受けたときにおける債権の届出(破産法111条T)。

 

債権届出期間は破産開始決定と同時に決定される(同法31条)。裁判所は破産開始決定をしたときは、債権届出期間他の一定の記載事項を公告し(同法32条T)、かつ知れたる債権者には通知する(同条V@)。それ故、通常、裁判所から通知により届出期間を知ることができる。

 

(4)民事再生手続開始決定

 

債務者が民事再生手続開始決定を受けたときにおける債権の届出(民事再生法94条T)。

 

破産と同様に、民事再生手続開始決定があったときは、裁判所から知れたる債権者に対して開始決定と共に債権届出期間の通知があるから(同法34条T、35条V)、通常、開始決定の通知を受け取ることにより届出期間を知ることができる。

 

(5)その他

 

債務者である法人が解散したときにおける債権の申出(民法79条等)、債務者について相続の開始があり、相続人が限定承認をしたときにおける請求の申出(民法927条)、会社更生手続開始の決定があったとき(会社更生法138条T)の債権の届出などがある。

 

これらの場合にも知れたる債権者には通知があるので、通知に記載された届出期間内に債権届を提出する。

 

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