過誤納金(現年・過年)の還付方法|過誤納登録、還付未済通知

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過誤納金(現年・過年)の還付方法|過誤納登録、還付未済通知

過誤納金の取り扱いについて

普通地方公共団体が収納すべき納付金について、納付義務者から正当に納付すべき金額を超えて収入したことを「過納」といい、正当な納付義務者でない者から誤って収入したこと「誤納」といいます。この過納及び誤納を総称して「過誤納」といい、その金銭をそれぞれ「過納金」及び「誤納金」といい、総称して「過誤納金」といいます。

 

(1) 過誤納金についての事務処理

@ 過誤納額の通知

過誤納があったときは、歳入徴収者は、収支命令者をして財務会計システムにより過誤納となった額を直ちに会計管理者に通知させなければなりません(※)。
この通知は、財務会計システムにより過誤納額登録書を起票することにより、その過誤納となった額を会計管理者に電子的に通知したものとみなされます。
これは、納付義務者に戻出すべき過誤納金について、正規の歳入金額と区別して歳入簿に記帳することにより、過誤納の管理と正しい決算を行うことが目的です。
※ 雑部金の収入に係る過誤納金、出納整理期間を超えた過年度の収入に係る過誤納金及び振替整理の収入に係る過誤納金については、過誤納額の通知をする必要はありません。

 

A 戻出の処理

歳入を戻出するときは、支出手続の例により戻出します。
また、その支出に係る予算は、歳入した年度の出納整理閉鎖期日までに戻出するのであれば、その歳入科目から戻出(これを「歳入還付」といいます。)することができ、出納閉鎖期日を経過した日以後に戻出するのであれば、歳出科目から戻出(これを「過年度支出」といいます。※)します(地方自治法第百六十五条の七)。

 

※ 過年度支出をする場合は、予算措置されているものを除き、財政課と協議して、その支出科目を確定させます。その場合、通常同一会計の翌年度歳出予算の「償還金利子及び割引料」に予算措置して支出します。

 

ア 還付決定原議の起案(文書管理システムによる起案)
(ア) 起案の手法について
歳入を戻出するには、支出手続の例による必要があります。このため、過誤納金を還付するに当たり、支出負担行為(※)に相当する原議(以下「還付決定原議」といいます。)を必要とします(地方自治法第百六十五条の七)。
しかしながら、財務会計システムでは、還付決定原議を起票することができない(※2)ため、戻出するに当たり、還付決定原議として文書管理システムによる起案が必要となります。
※ 支出負担行為とは、地方自治法では「普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為」をいうとしています。具体的には、証拠書類等に
基づき、法令又は予算等に従い、支出の原因、支出の相手方、支出の方法、支出すべき金額等について調査し、その支出をすべき時期以降に、その支出
をする旨を決定することをいいます(地方自治法第二百三十二条の三)。
※2 財務会計システムにある支出負担原議(支出負担行為書)(※3)は、地方自治法や会計規則に規定のない形式の文章であることから、市では支出負担行為を起案できないものと整理しています。正しく支出負担行為を起案するには、契約であれば、契約の締結を、その他の意思決定であれば、文書管理システムによる起案をする必要があります。このため還付決定原議は、戻出の意思決定であり、文書管理システムによる起案をする必要があります。

 

(イ) 起案方法と記載例について
A 還付決定原議の起案方法について
起案文に記載すべき項目及びその記載例は、概ね次のとおりとなります。

 

項目名 記載例
起案冒頭文

<歳入還付の場合>
次のとおり、○○手数料の歳入に過納付(又は誤納付)がありましたので、○○市会計事務規則第○条の規定により、過誤納額を会計管理者に通知した上、地方自治法施行令第 165 条の7及び同規則第○条の既定により、歳入還付の方法により還付してよろしいですか。

 

<過年度支出の場合>
次のとおり、○○手数料の令和○年度(過年度)の歳入に過納付(又は誤納付)がありましたので、地方自治法施行令第 165 条の7及び第 165 条の8並びに○○市会計事務規則第○条の規定により、過年度支出の方法
により還付してよろしいですか。
(※ 出納整理期間を超えた過年度の収入に係る過誤納金の戻出は、過誤納額通知をしないことに注意)

原因と理由

<原因と理由の例>
市は令和○年○月○日申請者からの請求により、○○証明を交付し、手数料(※)としてA円納付を受けた。後日その申請者から「本来の手数料はB円で、C円多く支払った。」との指摘があり、市が確認をした。その結果市が証明書の交付枚数を誤って手数料を算定し、請求していたことが判明した。このため、誤納された○○手数料を還付する必要が生じた。
※ ○○条例第○条に規定する○○手数料をいう。
※2 ○○手数料は、○○証明の交付の際にC円/枚徴収する。

納付義務者 (※ 申請者の住所等を適宜記載します。)
額と算出方法

<算出方法>
市はA枚交付したとしていたが、実際にはB枚交付していたため、その差に手数料を乗じた額を返金する。
(A枚−B枚)×C円/枚=D円
※ ○○手数料は、○○条例第○条の規定により1枚当たりC円

戻出科目 (会計、所属年度、款、項、目、節)
会計方法

<口座振替の方法により戻出する場合>
○○市会計事務規則第○条の規定による口座振替

 

<資金前渡の方法により戻出する場合>
○○市会計事務規則第○条の規定による資金前渡
同規則第○条の規定による前渡金の精算
(※ 窓口で随時の還付に対応するなど、資金前渡の方法により戻出する必要がある場合は、その理由を別に記載します。)

 

イ 歳入還付の場合の財務会計システムによる起票
(ア) 過誤納額登録書の起票(財務会計システムによる起票)
過誤納額登録書の摘要の欄に記載する事項は、還付決定原議ではないことから次の図1の記載事項程度を参考に記載してください。根拠文書の文書番号は、還付決定原議のものとなります。

 

図1 摘要の欄の記載事項

○○手数料に誤納付があったため、係る収入済の手数料を還付する。
1 納付義務者 山田 太郎
2 内 容 ○○証明交付に当たり、○○手数料をB円徴収すべきところをA円徴収したことによる還付
3 還 付 額 A円−B円=C円
4 収 入 日 令和○年○月○日
5 根 拠 文 書 ○○起第○号(令和○年○月○日付課長決裁)

 

過誤納額登録書を起票すると、この起票した金額を上限に歳入還付の支出命令書が起票できます。また、歳入簿の過誤納額の欄に、起票した金額が記帳されます。過誤納額登録書の起票後に、その金額が記帳されているか確認してください。
この金額は、ウで解説する歳入還付の支出命令書を起票すると、その金額が過誤納額の欄から控除されます。
また、出納整理期日までに控除され切らなかった金額については、6月 10 日までに「還付未済額通知書」を起票し、その旨を決算書に記載することとなります。

 

(イ) 歳入還付の支出命令書の起票(財務会計システムによる起票)
歳入還付の支出命令書の起票後は、歳入簿の過誤納額の欄の金額から減額されているか確認をしてください。

 

(ウ) 調定決定書の起票(財務会計システムによる起票)
還付すべき収入が、既に調定がされている場合は、減額調定をする必要があります。
調定決定書は、過誤納額登録書や歳入還付の支出命令書を起票しても自動的に減額はされません。起票漏れには十分注意してください。
なお、事後調定などの理由により、戻出時点で調定がされていないものであれば、その事後調定の際に、還付すべき収入に係る調定額を踏まえて事後調定することを忘れないようにしてください。
また、減額調定後は、調定額が確かに減額されているかを歳入簿により必ず確認してください。

 

ウ 過年度支出の場合の財務会計システムによる起票
過年度支出の場合は、既に収入年度が経過しているためその年度の過誤納額登録書の起票は必要ありません。また、歳出戻入ではないため、通常の支出命令書の起票の例により支出することとなります。
また、支出決定原議(支出負担行為書)の摘要の欄は、次の図を参考に記載してください。
なお、先に解説したように、この支出決定原議では、法令上の支出負担行為に当たらないため、文書管理システムによる還付決定原議の起案も忘れずに行ってください。

 

図1 摘要の欄の記載事項

○○手数料に誤納付があったため、係る収入済の手数料を還付する。
1 納付義務者 山田 太郎
2 内 容 ○○証明交付に当たり、○○手数料をB円徴収すべきところをA円徴収したことによる還付
3 還 付 額 A円−B円=C円
4 収 入 日 令和○年○月○日
5 根拠文書 ○○起第○号(令和○年○月○日付課長決裁)

 

エ 資金前渡による還付処理
(ア) 歳入還付の即日還付について
歳入還付の還付方法として、必要に応じあらかじめ還付用資金を資金前渡で用意し、窓口等で即日還付に対応することもできます。その場合、通常の歳入
還付の例に従い起案しますが、その還付決定原議には、その理由、資金前渡受日を追加して起案します。また、支出決定原議(支出負担行為書)においても、資金前渡受日、精算の記録を追記し、会計方法も同様に記載します。
この外、歳入還付の戻出処理に当たり、通常の業務で相当な確率と頻度で還付が発生し、かつ、不特定多数の者に対し、窓口等で即日に歳入還付をする必要がある場合は、会計室と協議の上、別途対応方法を検討します。

 

(イ) 過年度支出の即日還付について
過年度支出の還付方法でも、あらかじめ還付用資金を資金前渡で用意し、窓口等で即日還付に対応することもできます。その場合も、通常の過年度支出の例に従い起案しますが、その還付決定原議には、その理由、資金前渡受日を追加して起案します。また、その会計方法は、(ア)と同様の会計方法を記載します。また、支出決定原議(支出負担行為書)においても、資金前渡受日及び精算の記録も追記し、会計方法も同様に記載します)。

 

(2) 還付未済の取扱いについて

@ 還付未済とは

「還付未済」とは、ある納入金について過誤納金としての還付決定を行いましたが、その年度の出納閉鎖期日までに還付できなかったことをいいます。また、その額を「還付未済額」といいます。
還付未済となったものを、翌年度以降還付する場合は、過年度支出により処理します。
過年度支出は、そのための予算措置がされているものを除き、財政課と協議して、その支出科目を確定させます。

 

A 還付未済額の通知

還付未済が発生した場合は、その年度の決算書にその額を反映させるため、歳入簿でその額を確認した上、財務会計システム(※)で還付未済額通知書を作成し、翌年度6月 10 日(その日が休日の場合はその前日となります。)までに会計管理者に送付することとなります。
会計室では、その年度の出納整理期間中の5月初旬に、通知期限と伴に還付未済額通知書の作成の通知を送付しています。このため、これをきっかけに、出納閉鎖期日までに歳入簿の「過誤納額」の欄を良く確認し、「過誤納額登録書」の起票漏れ(※2)その他還付未済額に誤りがないか確認をしてください。
※ 還付未済額通知書の「入力年度」は決算年度となります。
※2 過誤納額登録書に起票漏れがあると歳入簿は正しい還付未済額が計上されません。
この外、過誤納に係る調定が正しくされているかも確認してください。なお、調定及び過誤納額登録書は出納整理期間が経過すると、遡って起票することができません。

 

B 還付未済額の決算上の取扱い

決算上、当然ながら還付未済額は収入済額に含まれます。しかし、還付未済額は納入義務者に還付すべきものであることから、その旨について附記する必要があります(※)。
また、決算上、収入未済額は、調定額から収入済額と不納欠損額を控除し、還付未済額を加えたものを収入未済額としています。このため、各会計歳入歳出決算事項別明細書では、還付未済額があるときにはその科目の備考欄に還付未済額の旨とその金額を記載しています。
このため、過誤納に係る調定や過誤納額登録書の起票が正しく行われないと、決算にも影響があるため、十分留意してください。
※ 「参考実務実例」(第一法規出版株式会社)
(事案) 過誤納となつた金額を払い戻すときは、支出手続の例により、これを当該収入した歳入から戻出しなければならないこととなつている(自治令165
の7)が、当該年度の出納閉鎖期までに戻出することのできなかつた過誤納金の決算書への記載についてはどのようにすればよいか。
(解釈) 当該過誤納金については、これを歳入中の収入済額として取り扱い、その旨を附記欄に表示しておけばよい。

 

(3) 納入済通知書の送付換え

納付義務者が他の自治体に納付すべきものを誤って納付し、銀行から市に誤った納入済通知書が送付されてくることがあります。
市に属さない納入済通知書の送付を受けた場合は、財務会計システムにより送付換通知書を作成し、そのうちの2部に納入済通知書を添え、直ちに会計室に返送してください。
会計室では、送付換通知書に基づいて収入計上額からその額を控除するとともに、指定金融機関を通して自治体に納入済通知書を転送します。

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