民事再生手続と債権者としての対応方法|自治体の債権管理

スポンサードリンク

民事再生手続と債権者としての対応方法|自治体の債権管理

1 民事再生とは

 

民事再生とは、民事再生法によるすべての個人・法人を対象とする再建型の法的整理手続である。

 

民事再生法(以下「民再」という。)は、小規模個人再生、給与所得者等再生、住宅資金貸付債権に関する特則を設けており、ここではこれらの特則の適用のない通常の民事再生手続について説明する。通常の民事再生は、法人、個人の事業者が破綻状態若しくはそれに近い状態となったときに事業を再生する法的手法として利用されている。

 

2 手続きの概要

 

通常は、申立て後直ちに裁判所から保全処分と監督命令(監督委員の選任)が出され、その後再生開始決定が出ると、再生債務者(旧経営者)は、原則として業務遂行権と管理処分権を失わず、監督委員並びに裁判所の監督の下で手続きを進める。

 

再生開始決定により、債権者による個別の権利行使は原則として禁止される。開始決定前の原因による一般の債権は「再生債権」となり、一定の届出期間内に「債権の届出」を行い、「再生計画」に従って配当を受けることになる。

 

「再生計画」は、通常、債権額の一定割合を一定の期間内に支払い、その余は免除するという内容となっている。「再生計画」が債権者集会で可決され、裁判所がこれを認可し確定すると、再生債権は「再生計画」に記載された内容に変更する。

 

スポンサードリンク

 

3 通常の民事再生手続の開始原因

 

破産の手続開始原因は、支払不能であるが(法人の場合は債務超過も開始要件となる。)、民事再生の手続開始原因は債務者に破産の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき、または、債務者が事業継続に著しい支障を来すことなく、弁済期にある債務を弁済することができないときである(民再21条T)。民事再生は債務者の再生を目的にしているので、破産よりも開始原因が緩やかになっていることに特徴がある。

 

民事再生手続の開始決定がなされると、原則として弁済は禁止される(民再85条T)。しかし、強制執行や保全処分等の手続きについては、破産と異なり、裁判所が、中止の「必要があると認める」ときに限って手続きを中止することとしている(民再26条T)。

 

破産では管財人が選任されるが、通常の民事再生では監督委員が選任される(民再54条T)。必須ではないが、東京地裁では全件について選任している。管財人と異なり、債務者の財産についての管理処分権はないが、再生手続を監督指導する重要な役割を担っている。

 

なお、別除権付き債権は、破産同様、再生手続によらず、権利を行使できる(民再53条U)。

 

4 再生計画についての同意の可否

 

民事再生手続の中心は、再生計画案を同意するか否かにある。通常の民事再生手続では原則として債権者集会を開催してこれを決する(民再169条U)。そこで、債権者としてどう対応するかが問題となる。

 

再生計画案は債権の一部免除と支払の猶予がその内容となっている。自治体が債権の一部を免除・放棄したり、支払いを猶予するには前述したとおりの要件を満たさなければならない。それ故、要件を満たさない限り不同意の書面投票をすべきであるとの意見もあり得る。

 

しかしながら、そもそも自治体が同意したことが直ちに免除の効果をもたらすものではないし、債務の免除は、民再という法令の規定に従って、債権者の意思に反してでも強制的に実現されてしまうものであるから、自治体が再生計画に同意をする場合であっても、免除や放棄の要件を満たしている必要はない。一般の再生債権者と同じ立場で判断すればよい。基本的には、同意も不同意もせずに態度保留のままにして置き、結果だけを確認すればよい。

 

なお、債権者間の平等を害するような再生計画や、債務者に弁済余力があるのにそれが正しく反映されていないような再生計画には、積極的に不同意の意思表示をすべきである。

スポンサードリンク

民事再生手続と債権者としての対応方法|自治体の債権管理関連ページ

新公会計制度の財務諸表の具体的な活用方法とは
時効が完成した場合の請求の可否は?|自治体の債権管理
個人である債務者が破産した場合における債務者に対する請求の可否は
保証人がいる場合、消滅時効はどのようになるのか|自治体の債権管理
資力要件と認定資料について|自治体の債権管理
債権放棄できる条件と手続き方法とは|自治体の債権管理
債権の免除の条件と自治法の規定|自治体の債権管理
民事債権と商事債権の区別の基準とは|自治体の債権管理
時効の中断事由にはどんな種類があるか|自治体の債権管理
欠損処理の対象と方法とは|自治体の債権管理
時効の援用・放棄の方法とは|自治体の債権管理
消滅時効期間は長さとは|自治体の債権管理
時効制度の趣旨と意義とは|自治体の債権管理
時効の起算点はいつか|自治体の債権管理
財産開示手続の費用と流れとは|自治体の債権管理
支払督促の流れとメリット・デメリットとは|自治体の債権管理
少額訴訟の流れとメリット・デメリットとは|自治体の債権管理
訴訟の流れとメリット・デメリットとは|自治体の債権管理
個人民事再生手続の流れと債権者としての対応|自治体の債権管理
民事調停の流れと必要書類とは|自治体の債権管理
即決和解の費用と流れ、必要書類など|自治体の債権管理
破産手続の流れと債権者としての対応|自治体の債権管理
保全処分の流れとは|自治体の債権管理
弁護士から債務整理の受任通知が届いた時の対応方法|自治体債権管理
債権の申出をする場合とは|自治体の債権管理
担保提供の請求|自治体の債権管理
履行期限の繰上げ|自治体の債権管理
公正証書とは何か。どのように作成するのか|自治体の債権管理
専決処分に関する適用上の問題点|自治体の債権管理
履行延期の特約等に関する適用上の問題点|自治体の債権管理
債務者や保証人の財産調査|自治体の債権管理
債務者が死亡したときの対応は?相続人の探し方|自治体の債権管理
どんな場合に強制執行するのか?|自治体の債権管理
強制執行の種類と流れとは|自治体の債権管理
合意を成立させる場合の注意点|自治体の債権管理
貸金業ガイドラインとは|自治体の私債権管理で使えるポイント
内容証明郵便とは|公務ではどのような場合に使うのか、作成方法は?
担保権(抵当権)の実行の方法と費用など|自治体の債権管理
徴収停止の要件と適用上の問題点とは|自治体の債権管理
納付交渉・納付相談のやり方|自治体の債権管理
督促の方法と法的効果とは|自治体の債権管理
履行延期の特約等について|自治体の債権管理
連帯保証人その他の第三者から弁済を受けた場合の処理方法は?
公務における債権のおすすめな収納管理の方法
公務における債権管理の際の台帳・ファイルの管理方法
保証人になろうとする者の意思確認はどうずればよいか|公務員貸付
過去に破産免責になった人へ貸し付けてもよいか|公務員の貸付業務
期限の利益の喪失条項とは?喪失事由とは?|公務員の貸付業務
自治体の貸付債権を担保する、連帯保証人と抵当権の設定とは
自治体の貸付債権の発生原因と、貸付の手続き方法
公務における貸付業務の注意点と基本的な流れ
公務における債権の意義と債権管理の基本原則とは
自治体債権の管理に関する基本法規とは