自治体新公会計制度導入の一例と特徴

自治体新公会計制度導入の一例と特徴

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自治体新公会計制度導入の一例と特徴

1 組織別のマネジメントに活用できる単位での財務諸表作成
・自治体の財務諸表は、全体の財政状況を総論的に分析するためだけでなく、各課のマネジメントに活用することを主眼としている。
・一つの歳出目にさまざまな課の予算が混在、また、一つの款に複数の部の予算を計上している例に加え、給与関係費も一定の歳出目に一括して予算計上していたことから、予算の執行面から、部や課の実績が見えにくい状況であった。
・予算から、1 部1 款、1課1目で予算体系を組み替えるとともに、給与関係費も歳出目(各課)で計上し、各部各課の実績の見える化を図った。

 

2 日々の会計処理時に複式仕訳
・各自治体では、発生主義・複式簿記による仕訳を期末一括仕訳でなく、収入の調定時や支出命令時に行う日々仕訳により行う。この結果、財務諸表の作成が迅速・正確に行えるとともに、多様な財務諸表の作成が可能になった。
・財務諸表の作成に、財政・会計・財産部門の職員のみが従事するのではなく、日々仕訳、日々の財産登録を媒介に区の組織全体が新公会計制度に向き合うことになり、事業執行に会計的視点からの職員の意識変革がなされる。

 

3 事業別財務諸表(財務レポート)による事業分析
・財務諸表を分析し、事業別財務諸表(財務レポート)を作成する。
・予算編成への活用や事業の改善、見直し等につなげる。
・会計別、部別、課別、特定事業別ごとに作成する。
※歳出の大事業及び中事業のうち、財務上の観点から特に検討を要する事業について、特定事業を指定。
A分類…施設運営受益者負担型
B分類…施設運営型
C分類…受益者負担型
D分類…各課が特に必要と認める事業

 

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4 固定資産
(1)資産区分
・貸借対照表に計上する資産は以下のとおり

 

行政財産
「公有財産台帳処理要綱等決裁。」の区分とする。ただし、インフラ資産等他の資産に分類されるものは除く。
普通財産
台帳処理要綱の区分とする。ただし、インフラ資産等他の資産に分類されるものは除く。
重要物品
「物品管理規則」に定める重要物品及び重要物品から区分換えした不用品。
インフラ資産
「有形固定資産」又は「無形固定資産」に分類し、有形固定資産を「土地」又は「土地以外」に区分する。
リース資産「リース資産・債務処理要領等」におけるリース資産。
ソフトウェア資産 「ソフトウェア資産処理要領等」におけるソフトウェア資産。
建設仮勘定
資産形成の対象となる支出について、本資産への計上を行うまでの期間の支出額を管理する。
投資その他の資産
「有価証券及出資金」、「長期貸付金」、「その他債権」、「基金積立金」又は「その他投資等」に区分する。

 

(2)取得原価主義
・固定資産の評価は、金額が客観的であること、民間企業も取得原価主義が一般的であることから、取得原価による。
・開始貸借対照表作成時には公有財産表、財産台帳等を資料に取得原価を算定し、不明な場合は、合理的、客観的な方法で算定した。
(3)資本的支出・費用支出(収益的支出)
・施設の新築、改築、増築、大規模修繕のように、固定資産の価値を高め、あるいは使用可能期間を延長させる支出は資本的支出とする。資本的支出は、既存の建物等と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに取得したものとして固定資産台帳に登録するとともに、貸借対照表に支出金額を追加する。
・維持管理及び原状回復に伴う支出は費用支出(収益的支出)として費用処理し、行政コスト計算書に支出金額を追加する。

 

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・原則、実質基準により上記区分を判断し、やむを得ない場合は形式基準で判断する。形式基準は支出金額が1 千万円以上、または支出対象資産の取得価格の30%を超える支出とする。
(4)減価償却
・固定資産のうち、建物、工作物、重要物品、リース資産、ソフトウェア資産については、別に定める耐用年数により定額法により減価償却を行なう。
・インフラ資産のうち、道路については減価償却を行わず、新規に構築した場合を除き、更新の経費は「取替法」により費用に計上する。
(理 由)個々の道路の更新サイクルは道路事情により様々であり、画一的な耐用年数の適用は実態に合わないこと。

 

〜インフラ資産とは〜
@都市活動において必要不可欠な資産であること、A処分して換金することが困難なこと、B行政に固有なものであること等から、道路、橋りょう、地下施設、街路樹、その他インフラ資産及びこれらと一体となって機能するものを含む。
(例)道路に含まれる付属構造物
(1)車道舗装(中央帯を含む。)(2)歩道舗装(縁石を含む。)
(3)植樹枡及び植樹帯(街路樹は除く。)(4)路面排水施設(街きょを含む。)
(5)路面照明施設(6)車両逸脱及び歩行者保護を目的として設置する防護柵類
(7)標識類・反射板等交通安全施設
※ただし横断歩道橋等の電線類地中化施設、電気及び機械設備を有する施設は除く。

 

5 中事業別に配賦
配賦とは、予算編成・執行時における効率性等により、特定の歳出目(課)・歳出中事業で集中管理している経費を、決算整理において、本来区分すべき歳出目(課)・歳出中事業に一定の基準で配分することをいう。的確な財務諸表を作成するために、次の経費を配賦する。
(1) 公債費
公債費として一括で支出されている元利償還額について、決算整理時に、財務諸表作成の基礎単位である各歳出中事業に振替を行い、当該歳出中事業に計上している資産との対比を可能にした。
(2) 特定科目で集中管理している経費
予算編成・執行時における効率性等により、集中管理している経費は、(1)と同様に決算整理時に財務諸表作成の基礎単位である各歳出中事業に振替を行う。
・常勤職員及び再任用職員の人件費
・退職給与引当金及び賞与引当金
・産休・育休・病休代替臨時職員にかかる経費
・複数の課にまたがっている電算業務システム 等

 

6 会計基準等の体系図
財務諸表の正確性と信頼性確保のため、財務諸表作成時の統一的なルールとなる会計基準を新たに制定。その他会計事務規則や公有財産管理規則の改正や要綱、要領、マニュアルを新たに制定。

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