調定とは?事後調定、納付書、納入通知書の違いを徹底解説|自治体会計

調定とは?事後調定、納付書、納入通知書の違いを徹底解説|自治体会計

調定とは?事後調定、納付書、納入通知書の違いを徹底解説|自治体会計

 

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自治体における収入の基本

収入とは

@ 収入とは、地方公共団体の行政需要を充たすための、支払の財源となるべき現金(証券を含む。)を収納する一連の行為のことです。
A 収入には、所有財産の処分によって生じたものや会計間の繰入れによるものを含みます。
一方、支払の財源とならない雑部金の受入れや現金でない土地、建物その他の物件の寄付は、収入には含みません。
B 収入には、公法上の収入と私法上の収入があります。
公法上の収入とは、権力的な作用によって徴収する収入です。例えば住民税などがあります。
私法上の収入とは、自治体が私人と対等の立場で、契約その他の行為により収入するものです。例えば、財産売払収入などがあります。
C収入に似た言葉に「歳入」という言葉がありますが、これは収入とは異なり、一定の期間を意識した言葉です。すなわち一会計年度内のすべての収入のことをいいます。

 

収入の原則

@ 収入の根拠は、法令、行政行為、契約などに基づきます。
A 予算上受け入れるべき科目がない場合であっても、収入を拒否したり、その権利を放棄する ことはできません。
B 歳入予算は収入の見積もりにすぎず、執行機関を拘束するものではないので、予算額以上に収入しても構いません。
C 収入をするには、法令や契約に基づき、その発生した権利の内容を調査決定(「調定」)し、納入義務者に文書をもって納入の通知をし、現金で収納することが原則です。

 

 

収入の事務手続き

収入事務の基本的な流れ

@ 歳入徴収者(課長等)は、歳入について調定し、納入義務者に対して納入通知書を交付します。
A 調定をしたときは、調定決定書により、直ちに会計管理者に通知します。
B 納入義務者は、納入通知書に現金を添えて、公金取扱金融機関か金銭出納員に納付します。
C 各金融機関は、とりまとめ店を通して納入済通知書を指定金融機関に送付します。
D 指定金融機関は、納入済通知書を取りまとめて、会計管理者に送付します。
E 会計管理者は、収入日計表を納入済通知書とともに歳入徴収者に送付し、収入済の通知をします。
F 歳入徴収者は、納入済通知書によって、収入済の確認をし、消し込み処理を行います。

 

歳入の調定

(1)調定の意義

@ 「調定」とは、地方公共団体の歳入を徴収しようとする場合に、長が【自治法】第231条の規定に基づき、その歳入の内容を調査して収入金額を決定する行為、すなわち、徴収に関する地方公共団体の内部的な意思決定の行為をいいます。
A 歳入を調定しようとするときは、その前提として、法令、契約などに基づく合法的に発生した権利がなければなりません。
B 歳入徴収者は、徴収すべき金額が確定したときは、その歳入に係る法令、契約書その他の関係書類に基づいて、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者などを具体的に調査決定しなければなりません。

 

【自治法】(歳入の収入の方法)
第231条 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところ* により、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。
*政令の定めるところ=【自治令】第154条(歳入の調定及び納入の通知)第1項

 

(2)調定の内容

調定をするときは、次の事項について調査、確認をしなければなりません。

 

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その結果、誤りがなければ、収入すべきものと決定します。調定とは、この一連の手続をいいます。
@ 歳入として受け入れる根拠があるか。
A 歳入が法令や契約に違反していないか。
B 歳入の所属年度に誤りがないか。
C 歳入科目に誤りがないか。
D 納入すべき金額と算定に誤りがないか。
E 納入義務者、納期限、納入場所に誤りがないか。

 

(3)調定の時期

@ 調定は、地方公共団体の内部的意思決定行為ですから、起案文書(調定原議)の作成とその専決区分に基づく決裁という事務処理を行います。

 

この事務処理は、収入事務の最初の行為ですので、納入の通知と現金収納に先立って行います。これを「事前調定」といいます。

 

A 住民税の延滞金、窓口で収納する手数料等、その歳入の性質上、事前調定が不可能なものは、申請書等によりその場で収入内容を調査決定して収納します。

 

この場合、この段階で調定行為は同時に行われたとみなしますが、起案・決裁という事務処理は現金収納の後になるので、便宜上これを「事後調定」といいます。

 

 

(4)調定の留意事項

@ 法令、契約書その他の関係書類によらない調定
納入者が納入の通知によらないで納入したもの、又元本債権に係る延滞金については、納入済通知書(延滞金については元本債権のもの)その他の書類に基づいて調定を行います。

 

A 分割収入する場合の調定
法令又は契約等により分割して収入するものは、原則としてその納期ごとに調定します。
ただし、市税、国民健康保険料、保育料など、年額又は数回分を同時に納入者に通知する必要があるものについては、年額を年度当初に一括して調定することが認められています。
☆ 調定原議の作成 ⇒ 「調定決定書」☆

 

調定決定書は、原議と調定額通知書の機能を兼ね備えた帳票です。
原議の作成とシステムへの調定データの登録(記録)を同時に行うことができ、会計室では、この登録を会計管理者への調定額の通知とみなします。
調定については、基本的に会計管理者による審査の対象とはしていないので、調定決定書の会計室への送付は不要です。
なお、調定の市長決裁案件等において、歳入に係る事業原議の扱いで、別途文書管理システムで原議を作成することは構いません。

 

ただし、この場合であっても調定データの登録のため、調定決定書を作成する必要があります。

 

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(5)調定決定書に記載すべき事項

概ね以下のとおりです。
@ 収入金の内容 A 調定金額 B 計算の基礎 C 収入科目・年度 D 納入者の住所・氏名 E 納入の方法 F 納入の場所 G 納期限 H 収入の根拠 I 会計処理の方法

 

会計管理者に対する調定額の通知

(1)財務会計システムによる電子的通知

@ 調定をしたときは、直ちに調定額を会計管理者に通知しなければなりません。

 

これは、会計室において、毎月市長と監査委員に市の調定・収入状況を報告する必要があり、さらには決算を調製する必要があるためです。
調定額の通知は、財務会計システムを使用して調定決定書を作成すること、又は「日々調定登録」をすることによって、電子的に通知があったものとみなします。

 

A 金銭出納員が窓口で受領する使用料、手数料のうち、同一科目に属する歳入で頻繁に収納しているものについては、毎回調定決定書を作成せずに、その月の分を取りまとめて翌月5日までに作成することができます。
☆ 調定決定書作成上の注意点 ⇒ 「起票日」の遡り☆

 

財務会計システムで調定決定書を作成すると、自動的に「起案日」が印刷されます。

 

入力画面上の「起票日」がこの起案日にあたり、この日付で歳入簿に調定件名・金額が記帳されます。
よって、前月分に属する収入を事後調定で処理し、当月に調定決定書を作成する場合、例えば11月分の使用料収入について12月になってから調定決定書を作成する場合等、また月末日に収納した現金を翌月初日に「日々調定登録」する場合には、起票日を前月に遡らなければなりません。
これをしないと、事後調定の場合、歳入簿の前月末の累計額において収入未済額がマイナスの状態、すなわち調定累計額よりも収入累計額が多いという事態になり、前月分の調定額として正しくシステムに記録されません。

(2)調定の取消し・更正

法令の規定適用の過誤や計算間違いなどにより、既に調定した内容に誤りがあったときには、次のとおり調定の取消しまたは更正を行い、会計管理者に通知しなければなりません。
@ 年度・科目・納入義務者・金額のいずれかに誤りがあった場合、または調定そのものを行う必要がなかった場合には、当該の調定決定書を取り消します。
A @以外の場合には、当該調定決定書の訂正処理を行います(件名等)。
B 当初の調定処理後に、法改正その他の理由により金額の算出根拠に変更が生じて金額を変更する場合は、調定そのものには誤りが無かったことになります。
この場合は、新たに調定決定書を作成して調定額の増額あるいは減額(減額調定)を行います。

 

減額する場合には金額の前に−(マイナス)を入力します。

 

出力した調定決定書では、マイナスは△で表示されます。
C 過誤納が発生し、納入義務者に当該金額を還付する場合、還付対象額について調定がなされている場合には減額調定しなければなりません。

 

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(3)起票日遡りと取消しに係る限度日について

会計室では、前月に属する調定・収入の実績数字を毎月5日頃に確定し、市長と監査委員に報告しています。
数字確定後に、前月に遡って調定決定書を作成したり、前月に作成した調定決定書を取消したりすることが可能であると、報告した数字とシステム上の数字に不整合が生じ、会計管理業
務の適正な遂行、ひいては決算処理に支障をきたすことになってしまいます。
そこで、会計室では、年度初めに、起票日の遡りと調定決定書の取消しに係る限度日(遡及限度日)をシステムに設定し、各課に通知しています。
限度日に係る主管課の具体的な事務処理は、以下のようになります。

 

@事後調定
前月分の収入については、限度日までに調定決定書を作成する。

 

やむを得ず限度日を過ぎた場合には現在日で作成する。

 

A調定の取消し・訂正
前月に作成した調定決定書の取消し・訂正は限度日までに行う。

 

限度日を過ぎてから行う場合は、便宜上、現在日で減額調定により処理する。
その際、件名を「・・・調定の取消しに係る減額調定」などとし、通常の減額調定と区別がつくようにする。

 

B前月以前に属する収入について調定もれを発見した場合
現在日で追加の調定を行う。

 

納入の通知

(1)納入の通知とは

歳入を収入するには、調定を基に、その内容を納入義務者に対して通知しなければなりません。

 

納入義務者に対し、自治体に対する債務の履行(金銭の納付)を要求するこの行為を納入の通知といいます。
→ 【自治令】第154条(歳入の調定及び納入の通知)第2項、第3項

 

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(2)納入の通知方法

@ 歳入を収入するときは、地方譲与税、補助金、地方債、滞納処分費その他その性質上納入の通知を必要としない歳入を除いて、納入義務者に対して納入の通知を行います。
A 納入義務者に対する納入の通知は、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所と請求理由(納付目的)を記載した納入通知書を発行して行います。
B ただし、その性質上納入通知書によることが困難な歳入は、口頭、掲示その他の方法によって納入の通知とすることができます。
例えば、窓口で受領する手数料等は、事前に納入通知書を発行することは不可能です。
このため、各種申請書等に基づいて収入内容をその場で調査決定し、口頭や料金表の掲示により納入の通知に代えます。
C 納期限については、法令その他の定めがある場合を除き、調定の日から20日以内において適宜の納期限を定めます。

 

(3)納入通知書の名義

納入通知書の名義(納入通知書の発行者名)は、原則として市長名です。
歳入徴収事務は室長又は課長が決裁(専決)していますが(職務権限規定・別表で定められているものを除く)、名義はあくまで市長とします。

 

ただし、次の場合には事務の委任・委託を受けた者の名義で納入の通知を行なわなければなりません。
@ 法律により委任を受けた事務を執行する場合
A 歳入の徴収又は収納の事務を私人に委託した場合
→ 【自治令】第158条(歳入の徴収又は収納の委託)

 

(4)納付書による収入

収入手続は、上記のとおり納入通知書によることを原則としていますが、その性質上納入の通知を必要としない場合や納入通知書を紛失、汚損した場合などには、納付書を使って納入します。

 

納付書によって収入すべきものは、下記のとおりです。
@ 負担金、補助金、委託金、寄付金、交付金、地方譲与税、預金利子、配当金又は滞納処分費を収入するとき。
A 金銭出納員又は私人に収納事務を委託した場合における受託者が、その収納金を金融機関に納付するとき。
B 資金の前渡を受けた者が源泉徴収をした金額を金融機関に納付するとき。
C 納入通知書を発行した後に生じた調定の変更その他の理由により納付すべき金額が減少したとき、又は納期限を繰り上げたとき。
D 納入通知書を紛失したとき、又は著しく汚損したとき。
E 小切手が不渡となり、再度納付させる場合。
F 資金前渡若しくは概算払を受けた者又は私人に支出事務を委託した場合における受託者が、その精算残金を返納するとき。

 

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G 前各号に掲げるもののほか、会計管理者が必要と認めたとき。

 

(5)国庫支出金・都支出金等の取扱い

国又は都から交付される諸支出金(補助金等)の受入れにあたっては、交付決定通知書到着後、すみやかに調定決定書を作成して会計管理者に通知(電子的通知)するとともに、納付書(交付金等入金連絡及び納付書送付票)を会計室に送付しなければなりません。事務の流れは以下のとおりです。
@ 国・都から交付決定通知書が主管課へ送付されます。
A 主管課は交付決定通知書を根拠にして調定を行い、納付書を会計室に送付します。
B 諸支出金が国・都から直接会計管理者の口座に振り込まれます。
C 会計管理者は、これを自治体の歳入とするため、口座から引き出して指定金融機関派出所で納付書により納付します。
D 納入済通知書が派出所から会計室へ送付されます。

 

(6) 歳出戻入の際の表示

歳出戻入をする場合には、納入通知書又は納付書の上部に「歳出戻入」の表示が必要です。

 

納付書、納入通知書の作成方法について

(1)財務会計システムで作成するもの

所定用紙(会計室からの払出し用品)は1種類です。用途に応じて、納付書、納入通知書また歳出戻入用、源泉徴収所得税用を選択して作成します。
システムでの作成方法には、次の3つがあります。
@ 調定決定書、精算書、歳出戻入決定書の作成や日々調定登録と同時に作成する。【随時の収入、国・都支出金、戻入金、使用料・手数料など】
A 納付書、納入通知書のみを単独で作成する。【使用料、手数料、事後払いの源泉徴収所得税など】
B 支出命令書・兼命令書の控除額入力欄を利用して作成する。【源泉徴収所得税や各種社会保険料などの法定控除金】

 

(2)エクセル等で作成するもの

財務会計システムが利用できない場合は、財務会計システム仕様に準じたOCR読取り対応の納付書をエクセルで作成します。次の3つの場合があります。

 

@ 他課から収納事務の委託を受け、収納金の納付のために所管外の科目で納付書を作成する必要がある場合
【事務所での区民税、保育料、犬の登録手数料など】
A 全庁LANが敷設されていない現場管理事務所等で作成する場合
【自転車駐車係収入、環境促進事業団の公園使用料など】
B その他 【保育所賄費の戻入金など】

 

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予め科目等を入力してある様式をパソコン上で開き、金額のみ入力して所定用紙に出力します。
現場管理事務所等の場合、予め科目等を印刷したものを事前にストックしておき、金額を手書きして使用することも認めています。

 

(3)各課で独自に作成するもの

一度に大量に作成する必要がある場合、独自様式で作成します。
【幼稚園保育料、住民税滞納分、各種貸付金返還金、道路占用料など】

 

(4)委託銀行に電算集計を委託しているもの

財務会計システム仕様に合わせる必要はありません。
【住民税、軽自動車税、国保・介護保険料、廃棄物処理手数料など】

 

(5)その他、納入義務者が所定様式で納めてくるもの

財務会計システム仕様に合わせる必要はありません。
【住民税特別徴収(銀行・官庁様式)】

 

財務会計システムによる調定等の処理方法について

(1)調定、納付書等の作成に係る処理

@調定決定書 ・ 調定決定書の作成。
・ 調定額に連動した納付書、納入通知書の作成。複数の納入義務者に対する納入通知書の同時作成。
A納付書等(単独) ・ 調定額、戻入決定額に連動しない納付書、納入通知書の作成。
・ 調定の不要な雑部金(源泉徴収所得税など)に係る納付書の作成。
B日々調定登録 ※ ・ 金銭出納員が住民から収納した現金(1日分)を、調定額として財務会計システムに登録し、納付書を作成する。
・ 留め置き金(釣銭、両替用)をシステムに登録し、調定額から留め置き金を差し引いた納付書の作成(年度初日)、あるいは調定額に留め置き金を加えた納付書の作成(年度最終日)を行うことができる。
・ 減額調定の処理はできない。※ 調定決定書は作成されません。調定自体は、 現金収納 →収納金日報の作成 → 歳入徴収者(課長)による決裁 という一連の行為の中で終了しているものとみなします。
C日々調定確認書 ・ 日々調定登録によってシステムに登録された1ヶ月分の調定額を確認するための「確認書」の作成。

 

(2) 具体的にどのように調定等の処理を行うか
事前調定

○財務会計システムで納付書、納入通知書を作成する場合
⇒調定決定書 で調定決定書と納付書等を同時に作成します。

 

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○納付書、納入通知書を独自様式で作成している場合
⇒調定決定書 で調定決定書のみ作成します。

 

事後調定

○次の条件に当てはまる場合
・ 金銭出納員がほぼ毎日現金収納をしている。
・ 他の課に収納を委託したり、現場管理事務所等で収納するということがなく、収納場所は常に1箇所である。
・ 還付による減額調定が発生しない。
・ 振替収支による収入がない。
・ 1年を通してこれらの条件に変化がない。

 

⇒日々調定登録でシステムへの調定額の登録と納付書の作成を同時に行います。
⇒ 月初めに、日々調定確認書 を出力し、前月分の調定額を確認して歳入徴収者の決裁を受けます。

 

上記のすべての条件に当てはまらなくても、「日々調定登録」を使用することにより事務の効率化をはかれる場合もあります。

 

○一般的な場合
⇒ まず、納付書等(単独) 、あるいはエクセル様式で納付書を作成し、現金を収納します。
⇒ 次に、調定決定書 で月分の調定決定書を作成します。

 

出納整理期間中の旧年度分調定事務について

(1)調定決定書の起案日の訂正

歳入の調定は、歳出における支出負担行為と同様の予算執行行為です。

 

従って、会計年度が終了(3月31日)し、前年度の予算が効力を失う出納整理期間中(4、5月)には、前年度に属する歳入の調定を行うことはできません。
調定事務は、日々調定登録を除いて、基本的に財務会計システムで調定決定書を作成し、調定原議の作成と会計管理者への調定額の通知(電子的通知)を同時にすることにより行います。

 

事後調定の場合、3月分の収入済額に対する調定決定書は4月5日頃(遡及限度日)までに作成しなければなりませんが、これを過ぎてしまった場合や調定もれを発見した場合には、3月に遡って調定決定書
を作成することはできず、やむをえず現在日で作成することになります。

 

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しかし、それでは会計年度終了後に調定をしたことになり、上記の原則に抵触してしまいます。

 

そこで、このような場合(遡及限度日〜出納閉鎖日の間に調定決定書を作成する場合)には、便宜上、調定決定書の起案日を3月末以前の日付に手書きで訂正することにします。

 

(2)国庫支出金、都支出金の処理

国庫・都支出金については、交付決定通知書を基に調定を行います。しかし、交付決定通知書が出納整理期間にならないと送付されてこないため、年度末を過ぎても調定を行うことができな
い場合があります。
この場合も、上記(1)と同様に処理することとします。

 

(3)減額調定の処理

前年度分調定の取消し・更正に伴う減額調定や還付に伴う減額調定は、整理行為であるので出納整理期間中も行うことができます。

 

督促と滞納処分、強制執行など

納入義務者に対して納入の通知をし、納期限までに納付されなかった場合には、督促をして収入の確保を図らなければなりません。

 

さらに、督促をしてもなお納付されなければ、滞納処分や強制執行などの手続を執らなければなりません。
督促と滞納処分、強制執行などについては、【自治法】第231条の3(督促、滞納処分等)と第240条(債権)の規定が一般規定として総則的に適用されます。

 

ただし、地方税法、道路法、国民年金法、国民健康保険法などの個々の法令に規定がある場合には、その法令の規定が適用されます。

(1)督促

@ 督促とは
ア 督促とは、債務者が納期限を過ぎてもその債務を履行しない場合に、滞納処分や強制執行を行う前提要件として、期限を指定してその納付を催告することです。
イ 督促に関する手続は、地方税法などで個別に規定されているものを除き、公法上の収入については【自治法】第231条の3(督促、滞納処分等)に、私法上の収入については【自治令】第171条(督促)に規定されています。
ウ 督促をする期日と督促状に指定すべき期限は、別に定めるものを除いて、条例などで定めます。(例)督促状を発するのは納期限の経過後30日目までに、督促状に指定すべき期限はその発行の日から20日以内の日。

 

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エ 地方公共団体が法令の規定により行う納入の通知と督促は、【民法】第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有します(【自治法】第236条(金銭債権の消滅時効)第4項)。この規定は、公法上、私法上のすべての収入について適用されます。しかし、2度目以降の督促には、時効の中断の効力はありません。

 

A 督促手数料と延滞金の徴収
ア 分担金、使用料、加入金、手数料、過料その他地方公共団体の歳入について督促した場合には、条例の定めるところ* により、督促手数料と延滞金を徴収します。

 

イ この場合の「地方公共団体の歳入」とは、公法上の歳入であり、私法上の歳入は含まれません。従って、私法上の歳入について督促をしても、その督促手数料や延滞金を徴収することができません。この場合は、履行遅滞に係る損害賠償金を請求します。

(2)滞納処分と強制執行など

督促をしても納付されないときは、地方税法などの定めのあるものを除いて、自治令の定めるところにより、滞納処分、強制執行などの措置を執ります。

 

@ 滞納処分
ア 滞納処分をすることができる経費の範囲は、公法上の収入のうち、分担金、加入金、過料、法律で定める使用料その他の歳入とこれらに係る督促手数料、延滞金に限定されています。
イ これ以外の収入は、裁判上の手続により、強制執行することになります。
ウ アの歳入について督促を受けた者が、その指定期限までに納付しないときは、地方税の滞納処分の例により処分することができます。
エ これは、債務者の財産を差し押さえ、これを換価し、その代金を債務者の徴収金に充当して、強制徴収の目的を達しようとするものです。
オ この制度の特色は、訴訟手続を経ることなく、行政機関の権限として行うことができるという点です。

 

A 強制執行など
ア 強制執行とは、債務名義* を基にして、債権者の申立てがある場合、国家の権力に基づいて、債務者の意思に反しても、強制的にその請求権を実現する法律手続です。

 

*債務名義=国の強制力によって執行されるべき請求権の存在とその範囲を表示し、かつ、法律により執行力を付与された文書

 

 

イ 滞納処分ができない歳入については、督促して相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次の措置を執らなければなりません。
(ア) 担保の付いている債権の場合は、担保権の実行手続* を執り、保証人に対してその履行を請求します。

 

*担保権の実行手続=担保権(質権、抵当権等)実行のための競売手続で、債務名義を必要としません。

 

(イ) 債務名義のある債権の場合は、強制執行の手続を執ります。
(ウ) これらに該当しない債権の場合は、訴訟手続によりその履行を請求します。
→ 【自治令】第171条の2(強制執行等)

 

 

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