債権の免除の条件と自治法の規定|無資力の定義と認定の条件

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債権の免除の条件と自治法の規定|無資力の定義と認定の条件

債権を放棄するには議会の議決を得ることが原則であるが、法律若しくはこれに基づく政令に特別の定めがある場合は議会の議決は不要である(自治法96条TI)。自治法240条Vに基づく自治令171条の7による免除はその場合の1つである。

 

1 法令の確認

 

(1)自治法、自治令の規定

 

地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、債務の免除をすることができる(自治法240条V)。この自治法の規定を受けて、自治令171条の7第1項は「免除が認めらる条件」として、債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした債権について、当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができることを定めている。

 

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この自治令171条の7第1項の規定は、自治令171条の6第1項5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る債権で、同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用される。この場合の免除については、債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない(自治令171条の7U)。

 

自治令171条の7第1項及び2項の免除には、議会の議決は不要である(自治令171の7V)。

 

履行延期の特約等(自治令171条の6)は、強制徴収公債権については適用を除外しているので、免除の規定の適用があるのは私債権及び非強制徴収公債権だけである。

 

2 適用上の留意事項

 

(1)免除は単独行為であること

 

免除とは、債権を無償で消滅させる債権者の行為であり、債権の放棄と同義である。債務者の意思に関係なく、債権者の意思だけですることができる(単独行為)。和解により一部免除する場合のように、契約により免除することも可能である。また、条件を付けて免除することも可能である。

 

(2)条件の「無資力又はこれに近い状態」の意味

 

「無資力」とは、@)資産がないか、あっても他の債務の担保に充てられており、無価値に等しいこと、かつ、A)収入が生計若しくは事業を維持するに足りないと認められること、つまり返済余力がないことをいう。

 

「無資力に近い状態」と、は、無資力とまではいえないが、これに準ずる場合をいうと解される。収入が少ないため、当該債権を約定どおりに返済させると生計若しくは事業を維持できなくなると認められる場合などがこれにあたる。

 

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(3)保証人から徴収できるときは免除できないこと

 

借受人において、免除の要件が備わっていることが確認できたとしても、直ちに免除の手続きに入ってはいけない。主債務について免除をすると保証人の保証債務も消滅してしまうからである。保証人からの債権回収が可能であるうちは、これを消滅させてはならない。したがって、保証人についても免除若しくは次に述べる債権放棄の要件を満たしているかどうか確認しなければならない。

 

(4)事務処理手続き

 

各所管において免除の手続きを準則化することが望ましい。もっとも、免除の規定は要件が大変厳しく、適用できる案件は殆どないものと思われる。)。

 

その場合、原則として債務者からの申請によるものとする。但し、債務者が行方不明になっていることがあり得る。この場合は、債務者からの申請はあり得ないので、別途、事務処理手続を定めておく必要がある。

 

また、適用要件を検討するに必要な裏付け資料についても標準化しておくべきである。

 

決裁権者の決済を得たら、債務者、保証人へ通知する必要がある。免除の意思表示は相手方に到達しなければ効力を生じない(民法97条T)からである。但し、債務者若しくは保証人が行方不明の場合には通知は不要である。この場合、法律上、債権は存続することになるが、会計上、欠損処理をして差し支えない。

 

免除の場合、全額弁済を受けたわけではないが、借用書など債務者等から入手した書類の扱いについては、完納した場合に準じた事務処理を行うこととする。

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