弁護士から債務整理の受任通知が届いた時の対応方法|自治体債権管理

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弁護士から債務整理の受任通知が届いた時の対応方法|自治体債権管理

1 受任通知の内容の確認

 

受任通知を受領したら、先ず、それを読み、内容を確認する。必要があれば弁護士に電話するなどして、債務者の状況(負債総額、債権者数など)、債務整理に至った事情、今後の処理方針(任意整理、自己破産又は民事再生)などを聞いておけば、今後の対応の参考となる場合がある。

 

2 履行期限の繰上げ

 

弁護士から債務整理の通知が届いたということは、債務者が支払不能の状態に陥っていることを意味する。したがって、直ちに期限の利益を喪失させて一括請求したいところである。

 

しかし、貸付条例で、銀行約款のように「債権保全を必要とする相当の事由が生じたとき」というような一般条項がない場合、弁護士が介入しただけでは期限の利益を喪失させることができない。

 

破産に移行した場合には、破産手続開始が喪失事由になっているので(民法137条@)、開始決定を受けたら、債権届出をする前に期限の利益を喪失させる旨の通知を破産管財人宛に送るべきである(自治令171条の3)。同時廃止事案では破産管財人が選任されていないので、本人宛に送ることになる。

 

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民事再生に移行した場合

 

民事再生手続開始決定は、破産と異なり、期限の利益を喪失させることができない。しかし、開始決定前の原因に基づく請求権であれば、期限未到来の債権も再生債権として扱われる(民事再生法84条T。なお、同法87条TB参照)。それ故、民事再生手続の中では、あたかも期限の利益を喪失させた場合と同様に扱われることになるので、期限の利益を喪失させることができなくてもそれほど問題にする必要はない。

 

任意整理の場合(裁判外の債務整理手続)

 

任意整理は法的手続きと異なり、債権者が同意することなく、勝手に債権をカットされたり、支払方法を変更されることはない。したがって、受任した弁護士との交渉において、未到来債権を含めた債権について話合いをなし、これを前提に分割弁済や債権の一部カットについて協議すればよい。

 

こうしてみると、弁護士がついている場合は、期限の利益を喪失させることができなくてもそれなりに対応できるものと言える。勿論、担保権を有していて、これを実行するとなると、一括請求できないことは大いに支障があることになるが、貸付けの場合、物的担保を付けていなければ、多くのケースではそれほどの支障はないであろう。

 

3 保証人への請求

 

債務者からの支払いは一旦停止されるので、速やかに保証人からの回収に取り掛かる必要がある。受任通知を受領した以後に弁済期の到来する支払いについては、保証人に対し、納付書を送付し、納期限を指定して請求しなければならない。その際には、主債務者が弁護士を介入させて債務整理に入ったことも合わせて通知するとよい。

 

4 債権額の届出等

 

受任通知が届いた段階では、債務者の弁護士も負債の全容を把握し切れていないことが多い。そのため、受任通知において、債務者の弁護士から、債務額の申告や確認を求められることがよくあるが、これには協力をすべきである(自治令171条の4。債権の申出に準じた扱い。)。債権を有しているのに申告をしておかないと、弁護士からの情報が得られず、不利益を蒙ることもあり得る。

 

なお、弁護士から受任通知を受け取ったときは、債権管理台帳にその受領日等を記載しておくべきことは言うまでもない。

 

受任通知受領後は、債務者の弁護士を交渉窓口とすべきであり、債務者との直接交渉は控えるべきである。

 

各債権者からの債権届が全部集まるまでに通常1ケ月程度かかる。1〜2ケ月経っても受任弁護士から何の連絡もなく、裁判所からも通知がないときは、受任弁護士に連絡を入れて、処理方針やその進捗状況などを尋ねた方がよい。当該債務者の案件処理を後回しにしていることも考えられ、債務者の協力が得られないため案件処理が進まないこともある。そのような場合には、ただ進捗状況を尋ねるだけでなく、いつまでに処理できるのかその見通しを聞いて、これを債権管理台帳に記載しておいた方がよい。

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