雑部金とは?科目更正、振替収支などの処理方法を分かりやすく解説

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雑部金とは?科目更正、振替収支などの処理方法を分かりやすく解説

振替収支

1 振替収支とは

振替収支とは、科目相互間、会計相互間や年度相互間で同一金額の移動を行う場合に、実際の現金の収納や支出を行わずに、書類上の収支の手続によって、現金の出納を行ったのと同様の効果をもたらす経理方法をいいます。
振替収支の趣旨は、煩雑な経理手続を簡略化する、すなわち納付書や支出命令書を介さずに経理するということにあります。
しかし、振替収支には、誤った年度・科目で納付又は支出してしまったことを修正することも含みます。年度・科目の誤りを振替収支により修正する場合は、対象とする帳票に応じて「振替収支命令書」で処理します。財務会計システムの「科目更正書」は、使用しないでください。なお、振替収支の対象は、あくまで収納と支出であり、調定は対象とされていません。

 

(1)?振替の範囲

振替収支命令書により処理しなければならないものは、次のとおりです。
@ 各会計間又は同一会計内の収入支出
A 繰越金及び歳計剰余金の繰越し
B 各会計間における歳計現金の繰替運用
C 自治体と私人等との間の債権債務の相殺
D 歳計現金と歳入歳出外現金との間の収入支出
E 条例に定める使用料・手数料のための収入支出
F 基金と各会計間の収入支出
G 前各号に掲げるもののほか、特に会計管理者が指定した事項

 

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(2)科目更正

財務会計システムなどの「科目更正書」は、振替収支で処理します。

 

☆ 振替収支命令書の特徴
⇒ 振替収支が2つの課にまたがる場合は、「振替元」の決裁用と「振替先」の決裁用の2枚が同時に作成されます。

 

☆ 年度・科目の誤りを修正する場合の処理メニュー
振替収支命令書 ⇒ 執行済の支出命令書、納入済通知書が対象。
振替える金額、振替元と振替先の2つの年度・科目を入力します。

 

(3) 振替が2つの課にまたがる場合の処理

原則的には、振替収支命令書は振替元(支出側)が作成し、振替先(収入側)がこれを受け入れることとなります。振替元・先の決裁終了後、2枚の振替収支命令書を一緒にして会計室に送付します。

 

雑部金

1 雑部金とは

(1) 雑部金とは、自治体が債権の担保として徴収し、あるいは法令の規定により自治体が一時的に保管しているにすぎない現金又は有価証券で、自治体の所有に属さないものををいいます。
予算上の歳入歳出とならないことから、現金については「歳入歳出外現金」と称します。有価証券については「保管有価証券」と称し、自治体の所有に属するものと区別しています。

 

(2) 雑部金の区分
雑部金は、歳入歳出外現金と保管有価証券に分類、区分、整理しなければなりません。ただし、特に必要がある場合は、会計管理者に協議のうえ、新たに区分を設けることができます。
@ 保証金
ア 入札保証金? イ 公売保証金? ウ 契約保証金? エ 住宅保証金 オ その他保証金

 

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A 保管金
ア 源泉徴収所得税? イ 市区町村民税? ウ 都民税? エ 徴収受託金 オ 団体保険料? カ 都費歳出保管金? キ 都費歳入保管金? ク その他保管金
B 公売代金
ア 差押物件公売代金? イ 競売配当金
C 遺留金
ア 遺留金
D その他雑部
ア 住民税一時仮受金? イ その他雑部

 

(3) 雑部金の区分(科目)の追加・変更
一般の歳入歳出の事業・課目の管理は財政課が行っていますが、雑部金については予算がないことから区分(科目)の管理を会計室で行っています。区分(科目)の追加・変更の必要があるときには、出納係に協議してください。

 

2 雑部金の基本的取扱い

(1) 年度区分
雑部金の年度区分は、その受払を執行した日の属する年度になります。具体的には、会計室で納入済通知書を収入計上した日、支出命令書を執行した日の年度で整理されます。
従って出納整理期間の適用はありません。

 

(2) 受払処理
歳入歳出外現金については、歳入・歳出、収入・支出という概念がなく、「受け入れ」と「払い出し」という概念で処理されます。
しかし、市の財務会計事務の一環として処理を行うので、収入と支出に関する会計事務規則などの規定が準用されます。従って、一般の歳入歳出現金と同様に財務会計システムを使用して処理を行います。その受入にあたっては納入通知書、納付書で収納し、払出にあたっては支出命令書を会計管理者に送付することになります。
なお、歳入歳出外現金については調定、支出負担行為(支出決定)、戻入決定という概念はありませんが、その受払にあたっては、それらに準じた意思決定行為、すなわち収納と支払についての起案文書(原議)の作成・決裁が必要です。
また、会計管理者は首長からの通知がなければ歳入歳出外現金の出納を行うことができませんが、納入済通知書と支出命令書の到着をもって通知があったものとみなします。
→ 【自治令】第168条の7(歳入歳出外現金及び保管有価証券)

 

 

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☆ 源泉徴収所得税について

 

「源泉徴収所得税」については、会計室が所管する区分(科目)ではありますが、その受入れの処理(還付を含む)は主管課で行うので、すべての所属で使用できるよう、予め財務会計システムなどに登録します。

 

3 歳入歳出外現金の収納・支払事務

(1) 区分(科目)の特性
歳入歳出外現金については、歳入・歳出という概念がないため、区分(科目)についても歳入科目、歳出科目という区別がありません。1つの科目で受払、すなわち収納と支払の処理を行います。しかし、一般の歳計現金と同じ財務会計システムで処理を行うので、システムを使用する際には、便宜上、歳入、歳入還付、歳出、歳出戻入という区別を用います。区別の考え方は、歳計現金の考え方を準用します。

 

 

歳入→法令、契約等の根拠をもって受け入れるとき。
歳出→本来の事業の目的のために支払うとき。

 

歳出戻入→ 誤払い、過渡しとなった支払金を戻入するとき。
歳入還付→ 過納、誤納した収納金を納入者に返すとき。

 

 

(2)財務会計システムの使用方法(例)
☆ 処理の選択について (雑部金を選択)
(1) 納付書、納入通知書を作成するとき
⇒? 納付書等(単独) で作成します。その際、作成したいものの種類を選択します。
○ 納付書選択 → [納付書、納入通知書、源泉用納付書]
○ 収入内容選択 →[収入、戻入]

 

 

(2) 支出命令書を作成するとき
・歳出 ⇒? 兼命令書 で作成します。
・歳入 ⇒? 歳入還付命令書 で作成します。過誤納額登録書の作成は必要ありません。

 

(3) 市に帰属する雑部金
雑部金のうち、区に帰属すべきものが生じたときには、課(室)長はこれを歳入に収入する手続きを執らなければなりません。これは、雑部金の科目から歳入科目に振替収支の方法により行います。

 

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(4) 雑部金の翌年度繰越し
年度末において雑部金に残金があるときには、収支命令者はこれを翌年度に繰越さなければなりません。所管する雑部金の繰越金額については、必ず帳簿等を確認のうえ、雑部金繰越確認書を翌年度の4月20日までに会計管理者に送付してください。繰越し処理は、年度末の収入計上・執行業務の終了後、会計室が財務システムで一括して行います。
なお、3月中に旧年度分として作成した支出命令書で、4月になってから会計室に到着したものは旧年度としての執行はできませんので、支出命令書を取り消した後、新年度分として再作成することとなります。納入済通知書については、会計室で新年度に読み替えて処理を行います。

 

3 保管有価証券

保管有価証券の出納は、長の通知がなければ、その受入れ、払出しをすることができません。現金とは異なり、証券そのものを出納・保管します。
→ 【自治令】第168条の7(歳入歳出外現金及び保管有価証券)

 

 

4 源泉徴収所得税の取扱い

(1)源泉徴収制度
源泉徴収制度とは、給与や退職手当、利子、配当、報酬・料金など、所得税の源泉徴収の対象となる特定の所得を支払う際に、その支払をする者がその支払う金額のうちから所定の所得税を差し引く(天引きする)方法によって徴収し、その徴収した所得税を一定の期限までに国に納付する制度です。

 

(2)源泉徴収義務者
@ 源泉徴収義務者は、所得税を徴収して国に納付する義務を負う者、つまり、その所得の支払者をいいます。学校や官公庁であっても、個人や人格のない社団、財団であっても、所得の支払者はすべて源泉徴収義務者になります。
A ただし、常時2人以下の家事使用人(お手伝いや書生など)だけに給与などを支払っている個人は、その給与などに対する所得税の源泉徴収の義務はありません。

 

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(3)源泉徴収の対象となる所得
給与所得(費用弁償である旅費を除く。)、退職所得、利子、配当所得、報酬、料金等が対象となります。
給与所得であるか、事業所得であるかの判断は、雇用関係に基づく収入であれば給与所得として扱います。しかし、所得の支払者から定期的に役務などに対する支払を受けているような場合で、それが実質的に給与になるのか、事業所得者への報酬になるのかが明らかでない場合には、次のような事項を総合的に考慮して判断します。
@ その契約の内容が、その人に代わってその仕事をさせてもよいようになっているもの。代替性がある場合は、事業所得とされる要素になります。
A 仕事を行う場合、個々の作業について指揮監督を受けるもの。受ける場合は、給与とされる要素になります。

 

B まだ引渡しを終えていない完成品が、不可抗力のため滅失したような場合でも、権利としての報酬の支払請求ができるもの。できる場合は、給与とされる要素になります。
C 所得者が材料を提供しているもの。提供している場合は、事業所得とされる要素になります。
D 作業用具を供与されているもの。供与されている場合は、給与とされる要素になります。
(5)? 報酬、料金などに対する源泉徴収
@ 報酬、料金等の範囲
報酬、料金等とは、原稿料、作曲料、講演料、弁護士に対する報酬・料金、芸能人に対する報酬・料金などです。詳しくは、【所得税法】第204条(源泉徴収義務)、【同法】第174条(内国法人に対して支払う報酬・料金)に列挙されています。
A 人格のない社団・財団に対する源泉徴収
ア 報酬や料金に対して源泉徴収するのは、主として個人事業者に対して支払う場合です。

 

イ PTA、同窓会、婦人会や法人でない労働組合などのように、いわゆる人格のない社団・財団*であることが、だれが見ても明らかなものは、源泉徴収の対象となりません。

 

*人格のない社団・財団 ⇒ 法人格を持たない社団・財団

 

ウ 法人以外の団体でも、次に挙げるもの以外は、人格のない社団・財団であることを立証した場合を除き、その支払をする報酬・料金は、源泉徴収の対象となります。
(ア) 法人税を納付する義務があること。
(イ) 定款、規約、日常の活動状況から見て、単なる個人の集合体ではなく、団体として独立して存在していること。

 

(6)源泉徴収票の交付と支払調書の提出
@ 源泉徴収をしたときは、毎年、税務署に対してその支払額、住所、氏名などを報告するとともに、その所得を受ける者に対して源泉徴収票を交付します。
A また、報酬・料金等の支払者は、一定金額以上のものについて、支払調書を作成し、税務署に提出しなければなりません。

 

(7)税務相談室の活用
@ 実際の事業執行、特に全くの新規事業や前例のない支払をする場合には、どの規定を適用し、税率を何パーセントにすべきかについて判断しかねることは多くあると思います。
A このようなときには、国税局の税務相談室(〔電話〕 3821−9080)に、具体的な問い合わせをして、回答を得てください。
B 調査した源泉徴収所得税の取扱いについては、支出原議にその内容を記載するとともに、「平成 年 月 日国税局税務相談室に確認済み」と記載しておいてください。

 

Q&A

源泉徴収所得税額の1円未満の端数処理
(問い)報酬や賃金を支払うときに源泉徴収する所得税額に、1円未満の端数が出ることがある。この場合の端数は、どのように処理したらよいか。
(答え)【国税通則法】と【国税通則法施行令】の規定により、1円未満の端数は切り捨てます。 また、「退職所得の受給に関する申告書」が提出されている場合の退職所得に係る源泉徴収所得税額と年末調整の場合の年税額については、税額に100円未満の端数が生じたときは、切り捨てることとされています。
→ 【国税通則法】第119条(国税の確定金額の端数計算)、 【国税通則法施行令】第40条第2項(課税標準等の端数計算の特例)

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