収納事務とは|公務員の金銭会計

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収納事務とは|公務員の金銭会計

1 金銭出納員と現金取扱員による収納について

金銭出納員は、会計管理者の命を受けて現金の出納・保管を行います。
「現金及び有価証券の収納及び払込み」等の事務について、会計管理者から具体的に事務の委任を受けています。金銭出納員の事務は、会計管理者の事務の補助ではなく一部委任であるため、自己の名と自己の責任においてこれを執行します。この章では、金銭出納員等による収納事務について解説します。

 

(1) 金銭出納員の収納事務

@ 領収書の発行
会計管理者からの委任により、金銭出納員が現金を収入したときは、その納付義務者に、自らの領収印を押印した領収書を交付しなければなりません。
ただし、口頭・掲示等の方法により納入の通知をして収納する使用料・手数料その他の歳入金で、特に市長の指定するものについてはこれを省略することができます。

 

A 携帯式電子機器による収納

 

B 収納金の払込み
金銭出納員は、その取り扱った収納金を、納付書で遅滞なく、公金取扱金融機関に払い込みしなければなりません。
具体的には収納金を、納付を受けた日又はその翌日(その日が休日である場合はその翌日)に、本庁舎の金銭出納員は、指定金融機関市役所派出所窓口に、それ以外の金銭出納員は、最寄りの公金取扱金融機関に払い込みます。
しかしながら、証券により納付されたものを除き、その収納金が少額で、毎日払い込むことが不適当であると金銭出納員が認める場合は、一万円に達するまでの金額を取りまとめて払い込むことができます。

 

C 現金出納簿の記録
金銭出納員は、現金の出納保管状況を整理するため、会計規則等に規定する現金出納簿を備え、記録管理しなければなりません。
現金の出納保管状況というのは、収納金の収入、公金取扱金融機関への払い込みなどをいい、それらが発生した場合に、その発生原因ごとに、金額を受又は払の欄に区分して記載し、さらに、その残金を現金又は預金の欄に区分して記載します。その他記載の注意事項は、次に掲げるとおりとなります。
ア 現金出納簿は、会計室出納係が配付する指定の帳簿に記載するものとし、口座(※)別に記帳しても、全口座を一体で記帳してもどちらでも構いません。
※ 帳簿では、予算科目を口座といいます。
イ 毎年度作成しなければなりません。しかし、余白が多い現金出納簿は、会計年度を明確にし、継続使用するものとします。また、それでも現金出納簿がなくなってしまった場合は、会計室出納係まで請求してください。
ウ 記載は、奇数の葉(帳簿では各頁を「葉」といいます。)から始め、予算科目別に記帳する場合は、各葉の上部に科目欄があるため、該当する予算科目を記載します。
エ 帳簿の記帳は、証拠となるべき書類によらなければなりません。証拠となるべき書類とは、現金の出納保管状況を客観的に証明する証拠をいいます。具体的なものは、収納金の収入であれば、収納金日報などをいい、収納金の払込みであればその領収書などの信ずるに足る客観的な証拠と成り得る書類をいいます。
オ 帳簿は、原則現金の出納、つまり、出し入れが発生した時点で記帳します。
カ 摘要の欄は、事実の要点を正確かつ簡潔に記載し、事実関係を明確にします。
キ 金額その他の記載事項は、会計規則等の規定により「改ざん」(※)してはいけません。
※ 「改ざん」とは、文書、記録等の全部又は一部が、故意若しくは過失により、本来なされるべきでない時期に、本来なされるべきでない形式、内容に変更されることをいい、悪意の有無は問いません。悪意がなくても誤解や知識不足によって、結果として不適切な変更を行った場合も含まれるため注意が必要です。
ク 記載は、ボールペン等を使用し、鉛筆、フリクションペンその他記載事項を後から消すことができる筆記具の使用はしないものとします。
ケ 記載事項は、遡って記載又は訂正してはいけません。このような場合は、記載漏れ又は誤記を発見し、記載又は訂正した当日において必要な記帳をします。ただし、月計額、累計額及び残額については、遡って訂正することができます。
コ 記帳中又は記帳直後に、記載漏れ又は誤記を発見し、金額等を訂正するときは、その金額の上に二線を朱書き(※)し、その上部に正しい金額等を記載します。その後、この二線の部分に記帳者の訂正印を押します。その際、訂正前の金額等は明らかに読むことができるようにします。
※ 修正液、修正テープ、砂消しゴム等その他二線を朱書きする以外の方法による訂正は認められません。このような訂正を行った場合、改ざんとみなされること
もありますので、注意してください。
サ 残の欄に記載すべき金額がないときは零(ゼロ)を記載します。その他の欄は記載すべき金額がない場合でも零の記載は不要です。
シ 記載後は、帳簿の記載事項と実際の現金の残額及び預金の残高等により確認をするものとします。
ス 毎月末には月計を記載するとともに、2か月以上にわたるときは累計を記載します。
セ 記帳が次葉にまたがるときは、最下行の摘要欄に「次葉繰越」(次頁繰越しをいいます。)と記載し、当該葉までの累計額を記載し、次葉の最上行には「前葉繰越」(前頁繰越しをいいます。)として、前葉の「前葉繰越」の項の金額を記載します。

 

D 収納金日報の作成
金銭出納員は、歳入を収納したときは、収納金日報を作成して日々歳入徴収者に報告しなければなりません。この収納金日報には、金銭出納員職氏名、年度、会計、予算科目(款、項、目及び節をいいます。)、金額を必ず記載しなければなりません。

 

E 釣銭及び両替金の留め置き
金銭出納員は、歳入の収納に当たって釣銭又は両替金を必要とする場合は、会計規則等の規定により、室長又は課長が定める金額の範囲内において、払い込みすべき収納金のうちから、必要とする額の現金を留め置くことができます。
具体的には、釣銭及び両替金を定める旨を文書管理システムにより課長決裁をとり、年度当初又は事業開始時等において、その留め置きたい金額に達するまで歳入金の払い込みを行わないことにより確保します。その際、その日の収納金日報の摘要欄に、その旨を記載します。
年度をとおして留め置いた留め置き金は、その年度の終了とともに速やかに払い込みしなければなりません(※)。
また、留め置き金を留め置く場合は、収納金等の出納保管状況を整理するため、現金出納簿で記録管理する必要があります。
※ 留め置き金は、年度当初に払い込むべき収入であったことから、年度終了後、払い込む場合の会計年度所属区分は、旧会計年度となります。

 

(2) 収納方法の特例

@ 金銭登録機による収納
使用料及び手数料は、金銭登録機(いわゆるレジスターをいいます。)を使用して収納することができます。
この場合、申請書その他これに準ずる書類に納付額を表示し、金銭登録機により印字した簡易な領収書を納入者に交付(※)します。
※ 納入者に交付する簡易な領収書とは、いわゆるレシートをいいます。レシートには、金銭出納員の領収の押印を省略することができます

 

A 自動券売機による収納
使用料のうち、自動券売機により利用券等を交付して利用を承認する施設(プールなど)は、その自動券売機を使用して納付を受けることができます。
この場合も領収書の交付を省略することができます。

 

(3) 出納整理期間中の収納事務の留意事項

@ 収納金の払い込みの取り扱い
出納整理期間中の収納金の払い込みは、新会計年度と旧会計年度とに納付書を分けて、別々に払い込みします。

 

A 雑部金(歳入歳出外現金及び保管有価証券をいいます。)の取り扱い
雑部金は、市の歳入歳出予算に属さないものであることから、出納整理期間の適用はありません。このことから、受払した日の属する年度、つまり、新会計年度の4月1日以降に収入されたものは、全て新会計年度として収入します。
なお、市では3月中に収入されたものであっても、4月1日以降に会計室出納係に到着する納入済通知書に係る収入は、全て新会計年度に読み替えて収入処理されます。

 

2 公金取扱金融機関による収入と収入計上

市では、納付義務者が、納入の通知書又は納付書の交付を受けた場合、指定金融機関、指定金融機関市派出所、収納代理金融機関又は金銭出納員の窓口のいずれかの場所で納付することができます。
会計室では、指定金融機関(指定金融機関区派出所を含む。)を経由して送付された納入済通知書を元に、どこで納付されたか(「区分」と言います)に応じ、仕訳し、整理し、納付データを作成し、記録管理しています。
市の金銭会計事務では、この区分を「収入区分」と呼び、納入済通知書の額面金額の総計と現金の一致を確認し、市の収入として組み入れます。このことを、市では「収入計上」といいます。
また、納付された収入の内容を、財務会計システムに入力し、そこから出力される市の帳簿(※)に記録し、収入日計票を発行する一連の事務を収入計上と呼んでいます。
ここでは、帳簿に記録するまでを解説します。
※ この市の帳簿とは、財務会計システムから出力される会計管理者の帳簿である「現金出納簿兼収支報告書」、「歳入日計表」の帳簿をいい、これらを合わせ現金出納簿と呼び、会計室でのみ出力されます。
以下、4つの収入区分とその区分に応じた収入計上までの流れについて解説します。

 

(1) 銀行収入

銀行収入とは、銀収ともいい、指定金融機関((1)において、指定金融機関市派出所を除きます。)又は収納代理金融機関(ゆうちょ銀行を除きます。)(※)に納付された収入(※2)をいいます。
※ これらの指定金融機関及び収納代理金融機関で納付することができる支店は日本国内の支店に限ります。
※2 金銭出納員の払込みを指定金融機関市派出所以外にした場合も同じです。

 

@ 納付義務者又は金銭出納員から払い込みを受けた指定金融機関及び収納代理金融機関は、納入済通知書をその金融機関の取りまとめ店に送付します。

 

A 取りまとめ店は、本支店分を分類し、及び集計した上、公務事務センター等に送付します。

 

B 公務事務センターは、内容を確認し、会計別に分類し、及び整理をします。さらに、納付を受けた金融機関との資金決済が終了した後、納入済通知書を、指定金融機関市派出所を経由し、会計室に送付します。その際、会計室に届く収入済通知書は、収入区分別(銀収、局収など)、会計別に仕分けされています。

 

C 会計室は、送付された納入済通知書を、歳入予算科目別に調査し、及び確認した上で、収入計上(※)します。
※ その日に到着した納入済通知書の収入計上は、原則午後3時過ぎ頃に行われます。
収入計上が終了すると、歳入簿にその日収入計上された収入が記載されます

 

D この流れにより納付義務者が納付又は金銭出納員が払い込みした日から、収入計上されるまでに要する日数は、概ね6営業日から8営業日まで程度かかります。ただし、納付義務者が納付する金融機関が市から相当遠方の支店などであった場合、これ以上かかることもあります。
このような理由から、出納閉鎖期日直前など、特定の日付までに収入計上される必要な収入金は、銀収の扱いでは、意図した日付の収入計上がされない場合もあります。このような場合は、必要に応じ、(2)派出所収入での納付又は払い込みを検討する必要があります。

 

(2) 派出所収入

派出所収入とは、派収ともいい、指定金融機関市派出所に納付義務者が直接納付した収入又は納付義務者が金銭出納員に納付し、金銭出納員が払い込みした収入をいいます。

 

@ 納付義務者から納付又は金銭出納員から払い込みを受けた指定金融機関市派出所は、納入済通知書を、当該派出所内で内容を確認し、会計別等に分類し、及び整理をします。
その上で、納入済通知書を会計等に分類し、会計室に送付します。

 

A 会計室は、送付された納入済通知書を、会計別、歳入予算科目別に調査し、及び確認
した上で、収入計上します。

 

B この流れにより納付義務者が納付又は金銭出納員から払い込みをした日から、収入計上されるまでに要する時間は、1日程度となります。具体的には、前日の午後から当日の午前中までに納付又は払い込みを受けたものは、その当日中に収入計上されます。

 

(3) ゆうちょ銀行株式会社の収入

ゆうちょ銀行の収入は、局収といい、ゆうちょ銀行(郵便局の貯金窓口を含みます。)に納付義務者が納付した収入又は納付義務者が金銭出納員に納付し、金銭出納員が払い込みした収入をいいます。
局収は、平成 19 年 10 月にいわゆる郵政民営化、つまり、日本郵政公社が民営化される以前の郵便局で取り扱った収入の略称の名残となります。現在は、ゆうちょ銀行も一般の銀行と同様に振込などを行うことができますが、当時は銀行とは別の業態として郵便局が存在していたため、市の収入区分は、銀収とは別に郵便局収入として局収として区分していました。
また、指定金融機関(指定金融機関市派出所を含みます。)及び収納代理金融機関での納付は、どの地域に存在する支店(外国の支店は除きます。)であっても納付することができますが、ゆうちょ銀行又は郵便局の貯金窓口での収納は、特定の支店以外での納付はできません。

 

@ 納付義務者から納付又は納付義務者から払い込みを受けたゆうちょ銀行(株)及び郵便局の貯金窓口は、納入済通知書を取りまとめ店に送付します。この取りまとめ店は、ゆうちょ銀行(株)貯金事務センターとなります。
A 取りまとめ店は、本支店分を分類し、集計した上、公務事務センターに送付します。
B 公務事務センターは、内容を確認し、会計別に分類し、整理をします。さらに、納付を受けた金融機関との資金決済が終了した後、納入済通知書を、指定金融機関市派出所を経由して、会計室に送付します。その際、会計室に届く収入済通知書は、収入区分別(銀収、局収など)、会計別に仕分けされています。
C 会計室は、送付された納入済通知書を、歳入予算科目別に調査し、確認した上で、収入計上(※)します。
※ その日に到着した納入済通知書の収入計上は、午後3時過ぎ頃に行われます。収入計上が終了すると、歳入簿にその日収入計上された収入が記載されます。
D この流れにより納付義務者が納付又は金銭出納員が払い込みした日から、収入計上されるまでに要する日数は、概ね6営業日から8営業日まで程度かかります。ただし、納付義務者が納付する金融機関が市から相当遠方の支店などであった場合、これ以上かかることもあります。
このため、旧会計年度中の収入とする必要がある場合で、銀収の扱いでは、出納閉鎖期日まで収入計上されるか微妙な時期の納付又は払い込みである場合は、必要に応じ、(2)の派出所収入での納付又は払い込みを検討することも必要です。

 

(4) 電算処理分の取り扱い

電算処理分とは、銀収及び局収のうち、指定金融機関にその納付に係る納入済通知書の自動読み取りと、電算集計を委託しているもの及び口座振替による収入を行っているものをいいます(地方自治法施行令第百五十五条)。
@ 納付義務者から専用の納付書で納付又は口座振替を受けた公金取扱金融機関は、納入済通知書をその取りまとめ店に送付します。
A 各取りまとめ店は本支店分を分類・集計した上、公務事務センターに送付します。
B 公務事務センターは、送付を受けた収入データを集計し、集計処理をします。
C 公務事務センターから、指定金融機関市派出所を経由して計算書と納入済通知書が送付されます。
D 会計室は、計算書が届いた日に収入計上を行います。その後、遅れて届く納入済通知書を、歳入予算科目別に調査し、及び確認します。
E この流れにより納付義務者が納付又は口座振替された日から、収入計上されるまでに要する日数は、概ね6営業日から8営業日まで程度かかります。ただし、納付義務者が納付する金融機関が市から相当遠方の支店などであった場合、これ以上かかることもあります。

 

3 収入計上後の事務

(1) 会計室の事務

会計室では、収入計上した後、課又は室ごとに収入日計票を起票し、所属年度、予算科目別及び所管で仕訳調査した内容などが表示された納入済通知書を添付して所管の歳入徴収者に文書交換で送付します。
また、電算処理分に限り収入日計票の下部に「電算処理分」と表示します。

 

(2) 歳入徴収者及び収支命令者の事務

@ 歳入徴収者の事務(納入済通知書と関係書類等の照合)
歳入徴収者は、会計管理者から、(1)のとおり収入日計票の送付を受けたときは、添付されている納入済通知書により、直ちにその予算科目、金額、納入済通知書の枚数などを調査し、照合します。また、出納整理期間中は、その会計年度にも注意をしてください。確認後、収入日計票の下部にある主管課欄で決裁を受けます。

 

A 収支命令者の事務(税外収入徴収簿の消し込み)
収支命令者は、納入の通知をした場合、その発行日を税外収入徴収簿に記帳する必要があります。
税外収入徴収簿は、記帳したものについて、実際に収入された場合、納入済通知書を確認しながら、その納付日等を記載し、消し込みを行います。ただし、個別システム、台帳等で税外収入徴収簿にある事項と同様の項目を別途管理している場合は、この税外収入徴収簿の作成を省略することもできます。
また、税外収入徴収簿の作成の趣旨は、納入の通知を発した税外収入の管理をする趣旨であるため、納入の通知と同時に納付済みとなったものについては、記載を省略することができます。また、納入の通知書を発行しない収入は、作成の必要がありません。

 

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