公務における債権管理の際の台帳・ファイルの管理方法

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公務における債権管理の際の台帳・ファイルの管理方法

債権管理の第一歩は、台帳管理、ファイル管理にあります。台帳やファイルの管理は各所管がそれぞれ債権の特性に応じて創意・工夫を重ねてきているところですが、その重要性に鑑み、一般的に留意すべき事項について紹介します。なお、ここで台帳・ファイルの管理とは、その作成、収集、保管、保存、廃棄、分類に関する事務を言います。

 

1 台帳の管理

 

(1)台帳管理に関する私債権管理条例、私債権管理規則の規定

 

首長は、市町村の私債権を適正に管理するために台帳を整備するものとし、台帳には、@)私債権の名称、A)債務者の氏名及び住所、B)私債権の額、C)その他首長が必要と認める事項を記載します。これは私債権について定めたものですが、当然のことながら、非強制徴収公債権についても台帳を作成すべきです。債権の性質がどのようなものであれ、それを保全し、確実に回収するためには、債権についての記録と管理が基本となることは言うまでもないことだからです。

 

台帳は、債権を適正に管理し、効率的な事務処理を行うために作成、整備します。その様式及び上記以外の記載事項については、各所管において適宜定めることができるので、随時、改善・工夫を図ることが望ましいです。

 

(2)台帳の記載事項

 

a)国の債権の管理等に関する法律の場合

 

台帳の記載事項をどう設定するかは債権管理にとって重要です。国の債権に関しては、国の債権の管理等に関する法律11条が「債務者の住所及び氏名、債権金額並びに履行期限その他政令で定める事項」を帳簿に記載しなければならないと規定しており、国の債権の管理等に関する法律施行令10条1項が「政令で定める」債権管理簿の記載事項として、@)債権の発生原因、A)債権の発生年度、B)債権の種類、C)利率その他利息に関する事項、D)延滞金に関する事項、E)債務者の資産又は業務の状況に関する事項、F)担保(保証人の保証を含む。)に関する事項、G)解除条件、H)その他各省各庁の長が定める事項を定めていることが参考となります。

 

b)返済状況に関する記載

 

国の債権に関する上記法令では、上記のとおり、返済状況は記載事項に

 

なっていないが、債権管理において、返済状況は必須の情報であり、償還予定、償還実績、元金残高等を一覧できる様式のもの(以下「返済一覧」という。)を作成すべきです。

 

返済一覧は誰が(借受人、連帯保証人、第三者)、いつ、いくら納付したのかわかるようにしておく必要があります。返済一覧は債権台帳とは別に作成しても差し支えありませんが、これも債権台帳の一部と考えていいでしょう。現在は、紙ではなくコンピューターにより管理するのが一般的であり、その場合、直ちに滞納者リスト等が検索できるようシステムを構築すると便利です。既にそれが完成している所管もありますが、未だできていない所管においては速やかにシステムの構築を図ることが望ましいといえます。

 

c)措置内容等の記載

 

督促その他法的に意味のある措置を採った場合には、その年月日、措置の方法、措置を採った者の氏名等を台帳に記載すべきです。それが一覧できる様式だと便利です。

 

2 ファイルの管理

 

私債権管理条例上はファイルの整備を義務付けられているわけではありませんが、必ず整備すべきです。実際上も各所管においてファイルを整備し、管理しているのが通例です。

 

ファイルは案件毎に作成し、時系列に従って綴じておくのが便利です。綴じておく書類は、貸付申込書、借用書及びその添付書類その他、貸付け時に徴収した書面、内容証明郵便、債務免除申請書そめ他、貸付け後に債務者若しくはその代理人から受領した書面、面談受付票、電話聴取書、督促状の控え、財産調査報告書、その他職員が作成した書面などです。

 

3 台帳・ファイルの管理方法(法令遵守)

 

(1)法令遵守

 

台帳・ファイルの管理は、法令を遵守してこれを行わなければならないことは当然です。したがって、行政文書の管理の基準を定めている情報公開条例並びに情報公開規則、文書管理規則及び個人情報の管理の基準を定めている個人情報保護条例並びに個人情報保護規則など、関連法令等にも充分配慮するべきです。

 

 

 

(2)留意すべき事項

 

債権管理は、監査委員による監査の対象となります(自治法199条T)。ときに住民監査請求(同法242条T)により監査が開始されることもあります。また、議会は自らが検査権を行使して台帳・ファイルを検閲し、執行機関にその事務の管理等について報告を求めることができるだけではなく(同法98条T)、監査委員に対して、監査をするよう求め、その結果に関する報告を請求することができます(同条U)。こうした監査や検査において台帳・ファイルは基本的な資料となります。更に、住民から開示を求められることもあります。裁判手続等がとられたときには重要な証拠となります。

 

台帳・ファイルの管理は、上記監査や検査、開示、あるいは証拠としての利用を念頭においてなされなければなりません。そして、適正な管理が行われるよう、随時、現況の検証と改善を繰り返す必要があります。

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