履行延期や専決処分において、合意を成立させる場合の注意点とは?

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履行延期や専決処分において、合意を成立させる場合の注意点とは?

履行延期の特約や専決処分の規定を適用できる場合は、合意を成立させることができます。以下、その場合に留意すべき事項について説明します。

 

1 適用要件の審査

 

(1)申請書及び資料の提出

 

上記規定は公平の原則に適合した運用がなされる必要があり、また、市町村民に対する説明責任の観点からも、その措置は合理的で誰もが納得できるようなものでなければなりません。それ故、上記措置を講ずるには、債務者から申請書を提出させると共に適用要件の該当性を裏付けるに充分な資料を提出させる必要があります。

 

但し、訴訟上の和解や調停等、裁判所の手続きで和解するときは、同手続きの中で資料が提出されているのが通常ですから、そのような場合には不要です。もっとも、裁判所の手続きではあるが、即決和解の場合は、実務において、事実上の合意ができた段階で申し立てているのが通常ですから、裁判外の和解と同様、申請書と資料を提出させることとします。

 

申請書の様式や徴求する資料については、各所管において、債権の性格等に応じてガイドラインのようなものを作っておくとよいでしょう。

 

(2)債務者以外の者からの資料の収集

 

適用要件の該当性を判断するためには、債務者本人からの提出による資料だけでは足りず、あるいはその信用性を確認するため、ときに債務者以外の者から資料を入手する必要性が生ずることがあります。この場合、入手先が遵守すべき個人情報保護法、個人情報保護条例、公務員の守秘義務等による制約がありますが、いずれも本人の同意があれば入手可能ですから、納付交渉の際、入手資料を特定したうえ、債務者本人から同意書を取ることも検討すべきです。なお、同意書は、通常、入手先がそれぞれ固有の書式を用意していますので、事前に同意書の書式を入手しておく必要があります。

 

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2 期限の利益の喪失約款

 

返済条件を変更する合意を締結する際には、必ず期限の利益の喪失条項を合意書面に盛り込む必要があります。その場合の喪失事由でありますが、「償還金の支払いを継続して怠ったとき」を加えておきます。

 

和解ですので、必ずしも喪失事由につき、条例に縛られる必要はありません。他の喪失事由については、債権の性格や償還方法(月賦、年賦等の違い)に応じ、各所管において、貸付金の性質に応じ、一応の基準を定めておくのが理想ですが、その基準に従いつつも、各事案毎に、債務不履行の原因や債務者の生活状況や性格等に応じて、決めるのが妥当です。

 

3 弁済確保の方法

 

(1)債務名義の取得

 

重要なことは、債務名義を取得する、後で改めて訴訟を提起しなくても、不払いがあれば直ちに強制執行ができる形式にしておくことです。但し、裁判所の手続きにより和解した場合は、裁判所が調書を作成し、その調書は判決と同一の効力を有するので、このような考慮は不要です。

 

裁判外の手続きで和解するときには、公正証書が簡便で使い勝手がいいです。公正証書は同証書に強制執行を認諾する旨の文言が入っていれば、金銭債権については判決と同一の効力があり、不履行のときに強制執行の手続きを採ることができます。即決和解を利用するのも一法です。その方が安くすむというメリットがあります。

 

但し、公債権については公正証書を作成できるかどうか疑問がありますので、この点、注意が必要です(公証人法1条@参照)。

 

(2)担保などの手当

 

再合意をする機会に、担保の状況を正確に見直し、必要なら差替えや追加を求めます。保証人の場合、その資力状態を改めてチェックして、必要に応じて保証人の追加・変更を求めるとともに、今後、その保証人に何か事情の変更があった場合に、保証人を変更・追加する旨の合意をとっておくことも考慮すべきです。

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