自治体債権の収納管理の方法は?調定、納入通知など地方自治法の事務
収納管理は、市町村と市町村民の間における金銭の授受を伴うものであり、極めて重要な業務ですので、以下、収納管理に関する法規について説明します。
1 歳入の調定及び納入の通知
地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければなりません(自治法231条)。この規定は、公債権、私債権の双方に適用があります。したがって、私債権であってもこの手続きを履践する必要があります。なお、納入の通知には絶対的な時効中断の効力があります(自治法236条W)。
(1)歳入の調定
歳入の調定は、当該債務について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、債務者等を誤っていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査してこれをしなければなりません(自治令154条T)。
法令又は契約等により分割収納をするものは(例えば、月賦払いの約定のあります貸付金)、原則として納期毎に調定しなければなりません。
(2)納入通知の作成・送付
納入の通知は、原則として、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所及び納入の請求の事由を記載した納入通知書でこれをしなければなりません(自治令154条V)。
2 納入の方法
債権の徴収金は、窓口での金銭納付のほか、銀行、郵便局での口座振替による納付、証券納付もできることになっています(自治法235条U、自治令168条)。
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3 納入後の処理
(1)入金データの記入・入力
現金の出納及び保管は会計管理者の権限であり(自治法170条U@)、現金納付の場合、その納付金は会計室が保管し、振替納付の場合、郵便局や金融機関から納入済通知書が会計管理者に送られてくる。しかし、個々の債務者の入金管理は会計管理者が行うのではなく、各所管が行います。そこで、会計管理者から収入日計表及び納入済通知書が送付されてくるので、所管は入金データを債権管理台帳に記入(紙による管理の場合)若しくは入力する(コンピューターによる管理の場合)ことになります。
(2)保証人その他の第三者から入金があった場合の処理
保証人が納付した場合、後に求償権を行使するために自分がいつ、いくら支払ったか照会してくることがあります。それ故、誰が支払ったか明確に市町村分しておく必要があります(したがって、返済一覧にもその市町村分を設けるべきです。)。
4 完納した場合の処理
債務者が完納した場合には、債務者から請求があれば借用書を返還しなければなりません(民法487条)。請求がなければ返還する義務はありませんが、返還した方が過誤払い等の防止にも役立ちます。
なお、借用書を郵送にて返還する場合、紛失によるトラブルを避けるため配達証明付き郵便によることが望ましいです。その際、受領書を同封し、署名捺印のうえ返送してもらうようにします。本人に会って返還するときは受領書を徴収します。
保証人が付いている場合、保証人に完納になった旨通知する義務はありませんが、通知する方が過誤払い等の防止に役立ちます(その場合、通知書の控えを取ってファイルに綴っておく。)。
保証人が完納したときは、保証人に借用書を返還しなければなりません(民法503条T)。