自治体が口座振替払ができる場合とは?公務の支出の特例と仕組み

自治体が口座振替払ができる場合とは?公務の支出の特例と仕組み

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自治体が口座振替払ができる場合とは?公務の支出の特例と仕組み

(1)? 口座振替払の意義
口座振替払とは、地方公共団体の長が定める金融機関に預金口座を設けている債権者からあらかじめ口座振替払を希望する旨の申出があったものについて、指定金融機関に資金を交付し、債権者の預金口座に振り込んで支払をする方法です。

 

【自治令】(口座振替の方法による支出)
第165条の2条 地方自治法第235条〔金融機関の指定〕の規定により金融機関を指定している普通地方公共団体において、指定金融機関、指定代理金融機関その他普通地方公共団体の長が定める金融機関に預金口座を設けている債権者から申出があったときは、会計管理者は、指定金融機関又は指定代理金融機関に通知して、口座振替の方法により支出をすることができる。

 

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(2)? 振込先金融機関の範囲
債権者の指定できる振込先金融機関の範囲は、契約銀行と為替取引のある金融機関店舗です。

 

(3)? 口座振替の依頼
@ 債権者からの申出は、支払金口座振替依頼書によって行います。また、口座振替を依頼することを確認できる書類によることもできます。
A 口座振替依頼書は、原則として請求金額ごとに提出します。ただし、債権者コード登録によって、事前に口座振替の申出を行っている債権者は、債権者コード欄に債権者コードを記入することで口座振替依頼を行います。

 

(4)? 口座振替払の債権者の登録
@ 口座振替の事務手続の簡素化と迅速化を目的として、事前に債権者の住所・氏名、金融機関名、口座番号・名義等を登録しておく制度です。
A 原則的に、登録を希望し、自治体から継続して支払を受けている(目安として毎月1回程度)債権者が登録できます。
B 債権者から登録を希望する旨の申出があったときは、出納係の窓口において「支払金口座振替依頼書」(債権者コード登録用)により受付し、債権者コードを決定して、債権者に通知します。
(5)? 口座振替の方法
口座振替の方法(種類)には、@口座振替(入力)、A口座振替(MT等作成)があります。
@ 口座振替(入力)
債権者コードがある場合にはそのコード番号を、ない場合には債権者から申出があった振込金融機関(取扱店コード表に記載されている金融機関)、口座名義人、預金種別、口座番号などの内容を支出命令書の作成時に直接入力します。その内容を直接指定金融機関に渡して、口座振替を行います。
A 口座振替(MT等作成)
多数の債権者に口座振替をする場合に行う方法です。財務会計システムを用いることなく、電算システムや契約銀行のパソコンバンキングシステムで口座振替データを作成します。
データをMT(磁気テープ)に収録して指定金融機関派出所に直接持参する方法や、FD(フロッピディスク)に収録して会計室に送付し、伝送システムで銀行の公金センターにデータを送る方法などがあります。実務については、出納係などに協議が必要です。

 

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B 専用の振込一括依頼書の利用など
報酬や報償費など債権者が確定されていて、支払額だけが変わる場合には、契約銀行に依頼して専用の振込一括依頼書を利用することができます。はじめに債権者の振替口座を登録すると、次回からは、債権者名の記載されたOCR用紙に支払額を記入して提出することになります。

 

(6)? 口座振替の不能
口座振替の不能とは、何らかの原因により相手方の口座に入金できない事態です。正しく迅速に相手方の口座に入金させるため、次の点に注意してください。
ア 振込先金融機関・店舗、預金種別、口座番号、口座名義人(フリガナ)は、通帳などと照合しながら債権者に記入してもらうこと。
イ 支払金口座振替依頼書を受理するときは、記入の漏れや誤りのないよう、必ず点検すること。
ウ 金融機関コードは、よく間違えるので注意を払うこと。
エ 口座振替の不能の例として多いのは、法人略語*の誤り、個人名義と会社・商店名義の間違い、氏名の読み違い、預金種別の記入の漏れや誤りなどです。
*(例)「カブシキガイシヤ」⇒「カ)」、「シヤカイフクシホウジン」⇒「フク)」など
@ 口座振替の不能の通知
ア 指定金融機関から口座振替不能通知があると、出納係が担当の係に連絡します。
イ 口座振替の不能の理由を調査したうえで、処理方法に準じて必要事項を記入して、決裁後、出納係に再度提出します。
ウ この処理は迅速に行わなければなりません。
A 口座振替不能となった資金を再送する場合
再度、口座振替で処理できる場合は、次のとおり処理します。
ア 口座振替不能通知書兼再送・戻入依頼書の中の「1再送振込依頼書」を丸で囲みます。
イ 正しい振込先をマス目に沿って、全て記入します。
ウ 収支命令者が決裁します。
エ 債権者が変わる場合は、正当債権者を確認できる書類を持参し、審査係で確認印を得ます。

 

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B 口座振替不能となった資金を戻入する場合
再送できない場合は、その資金をいったん戻入します。別の方法で支払をするときは、戻入を確認したうえで、新たに支出命令書を発行します。

 

 

ア 戻入について決定します(歳出戻入決定書を作成し、決裁を得ます。)。
イ 指定金融機関を納入者とする納付書を作成します。
ウ 口座振替不能通知書兼再送・戻入依頼書の中の表題の「2戻入」を丸で囲み、収支命令者が決裁します。
エ 以上をまとめて、会計室に送付します。
D? MTによる支払で執行と同時に戻入がある場合
ア 口座振替中止・再送・戻入通知書を作成します。依頼内容の「2戻入」に丸印をします。
イ 戻入の納付書とともに会計室に提出します。

 

(注)他の支払での同時戻入の場合は、出納係に連絡してください。

 

Q&A
口座振替支出での第三者への口座振替
(問い)口座振替の方法により支出する場合に、第三者の口座へ振り替えることができるか。
(答え)その第三者が受領代理人である場合を除いてはできません。なぜなら、その支出は、債権者のためにするものではなくなるからです。

 

請求権者の第三者の口座への振替
(問い)市に請求権を持つAは、口座振替依頼書にAの債権者であるBの預金口座を振替先口座に指定できるか。
(答え)第三者の口座に該当するので、指定できません。
請求権だけを委任された者の振込依頼
(問い)同一法人における代表権を有する理事長Aから請求権だけを委任された病院長Bは、区に対する債権額について、Aの口座への振込依頼人になれるか。
(答え)なれます。なお、同一法人でない事例の場合も、同様に解釈します。
同一法人の口座振替依頼における委任状の要否
(問い)A株式会社本社と契約したが、口座振替の振込先として、同社のB支店支店長甲の口座を指定してきた場合、委任状は必要か。
(答え)委任状は必要ありません。支払金口座振替依頼書の振込名義から、弁済の効果が同一法人に及ぶものであることが明確になっているものは、あえて委任状を取ることなく処理できます。
(例)
A ○○株式会社○○支店 支店長○○○○?? →不要
B ○○支店 支店長○○○○??? →要(同一法人への帰属が明確でないため)
C ○○○○(氏名のみ) →要(同一法人への帰属が明確でないため)

 

法人から個人への口座振替依頼
(問い)口座振替の方法による場合、区に請求権を持つA株式会社は、その代表である取締役の個人名義の口座に振替先口座を指定できるか。
(答え)法人から個人、個人から法人への口座振替依頼はできません。

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