公正証書とは何か?作成方法、効果、メリットを解説|自治体債権管理
1 公正証書の意義
公正証書とは、本来は、公務員が権限内において適法に作成する一切の証書(公文書)のことをいうが(民法施行法5条)、一般には、公証人が公証人法等の法令に基づいて、法律行為や権利に関する事実について作成した証書のことを指す。
2 公正証書の効用
公正証書は、高度の証明力を有し、また、強制執行認諾条項を記載した金銭債権については執行力を有し(建物の明渡請求などは不可)、公正証書に基づいて強制執行ができる。
3 公正証書の作成
(1)必要書類等
a)法人が公証人に嘱託する場合には、
・資格証明書
・印鑑証明書と代表者印
なお、自治体の知事、市町村長等、公法人の代表であって登記する規定のないものについては、職印を押した書面を提出して資格を証明することができる。
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b)個人が嘱託する場合は、
・印鑑証明書と実印または、
・運転免許証、旅券、外国人登録証明書
(2)作成手続
必要書類を持参して公証役場での受付後、公証人による具体的作成内容の聴取を終えたあと、公証人が公正証書を作成し、公証人による公正証書の読み聞かせまたは閲覧を経て、内容を確認する。公証人及び列席者が公正証書に署名捺印し、原本は印鑑証明書や委任状を連綴して公証役場に保存し、原則として20年間保存される。
嘱託人は請求により正本の交付を受ける。通常、正本は権利者に、謄本は義務者に交付される。
個別の公正証書の作成においては、公証役場・公証人と連絡をとって手続きを進めることが重要である。
4 公正証書による執行
公正証書の債務者が、約定の支払いを履行しない場合、債権者は執行文の付与の手続きを経たうえで、執行文の付与された公正証書の正本に基づいて、強制執行をすることができる。
5 公債権について公正証書を作成することの可否
公証人法は、「法律行為其ノ他私権ニ関スル事実」につき公正証書を作成することができるとしており(1条@)、文言上、非強制徴収公債権について公正証書を作成できないかのようである(強制徴収公債権については滞納処分の例によることとなっているから、公正証書を作成する意味はない。)。しかし、非強制徴収公債権については私債権と同様に扱われるべきであり、公正証書の作成ができてしかるべきである。非強制徴収公債権について公正証書を作成しようとするときは、作成の可否について事前に公証役場に問い合わせした方がよい。