物品管理法における備品と消耗品|占有公有財産との違いは?
1物品管理の原点
自治体は、住民のための各種事務事業を執行するために、様々な種類の財産を保有しています。
これらの財産は、住民からの信託を受け、取得したものであり、適切な管理と有効な運用を図っていく責任と義務を負っています。
地方財政法第8 条は、「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。」と規定しています。
物品は、財産の一区分として位置付けられ、行政目的を達成するうえで、有力な手段を提供するものであり、この基本原則のもとに、経済的価値を損なうことなく維持保存し、効率的な活用を図っていく必要があります。
このため、その出納、保管の状況を正確に記録、整理し、管理の状態を明らかにしておかなければなりません。
このことは、住民の自治体に対する信頼を高めるためにも、極めて大切なことです。
2 財産としての位置付け
地方公共団体における財産は、自治法第237 条に定められており、公有財産、物品及び債権並びに基金の4種類に区分されています。
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(1)公有財産とは、以下のとおり規定されています。(自治法第238 条第1 項)
@ 不動産
A 船舶、浮標、浮桟橋及び浮ドック並びに航空機
B 前二号に掲げる不動産及び動産の従物
C 地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利
D 特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利
E 株式、社債、地方債及び国債その他これらに準ずる権利
F 出資による権利
G 財産の信託の受益権
(2)債権とは、金銭の給付を目的とする地方公共団体の権利をいいます。(自治法第240 条)
(3)基金とは、地方公共団体が、特定の目的のために財産を、維持・管理する目的で設置するものをいいます。(自治法第241 条)
@ 財産を維持するため又は資金を積み立てるための基金
A 定額の資金を運用するための基金
の二種類があります。
(4)物品とは、地方公共団体の所有に属する動産(現金等を除く)及び借用・占有動産と規定されています。(自治法第239 条)
3物品の範囲と基本的用語
(1)物 品
物品とは、自治法第239 条第1項及び、第5 項により規定されています。
@ 所有動産
地方公共団体の所有に属する動産で、次に掲げるものを除いたものをいいます。
ア 現金(現金に代えて納付される証券を含む)
イ 公有財産に属するもの
「例」 ・不動産の従物
・船舶、浮標、浮桟橋、浮ドック及び航空機並びにこれらの従物
ウ 基金に属するもの
A 借用動産
借用動産とは地方公共団体が使用のために保管する動産であり、賃貸借契約を締結して受入れ、契約期間満了後返却すべきものであり、その賃貸借契約書を基に物品として管理することとなります。
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B 占有動産
地方公共団体が保管するもののうち、政令で定める(借用動産を除く)占有動産は、次に揚げる物品をいいます。
ア 寄託を受けた動産
イ 遺失物法の規定により保管する動産
ウ 児童福祉法の規定により保管する動産
エ 生活保護法の規定により保管する遺留動産
(2)基本的用語
@ 管 理
物品の出納(受入れ、払出し)、保管、供用、組替え、処分をいいます。
A 供 用
物品をその用途に応じて、所属の職員等に使用させることをいいます。
B 所属換え
物品がその所属するところで、使用目的を失ったとき、他の所属に移し換えることにより、効率的に供用することをいいます。
C 組替え
本来の用途に供することが出来ない物品をその属する区分から他の区分に替えることをいいます。
D 処 分
物品の本来の用途を廃止し、他に転用、売却又は廃棄することをいいます。
E 不動産、動産
土地と土地の定着物である建物や樹木などを「不動産」といい、不動産以外のものを「動産」といいます。
F 主物・従物
「例」家(主物)に付属している畳や建具のように
ア 主物の常用に供せられ、社会通念としても主物の用途のうえで、分離することができない働きをすると認められること。
イ 特定の主物に付属すると認められる程度の場所的関連をもつていること。
ウ 主物、従物ともに、それぞれ独立の物と認められること。
エ 主物、従物ともに、同一の所有者に属すること。
という要件があるとき、家を主物、畳や建具を従物といいます。
主物が売却などによって処分されたときは、従物も共に処分されたものとみなされます。
4年度区分
物品管理事務の会計年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとなります。
これは、物品の受入れ・払出し及び残高の計算を明らかにし、会計年度における物品の購入又は売却によって生じる収支と対応させるためであり、また、決算資料の一つである「財産に関する調書」とも一致させることが、財産管理面から必要とされるからです。
5所属別分類
物品は、取得した目的に従って使用されなければなりませんが、取得の目的は、一定の事務事業の遂行にあります。
事務事業は、担当の課や所などの組織により実施されています。
従って、取得した物品はこの組織に所属させ、取得の目的に沿った使用が図られることになります。これを「所属別分類」といい、課、学校、館等ごとに所属コードを定めて分類しています。
取得した目的の事務事業が終了し、当初の使用目的を変更して他の目的のために使用したり、また、他の所属に引き継いでより有効な活用を図る必要が生じる場合は、「所属換え」という取り扱いが認められています。