現金出納員と取扱員の違いとは?出納機関の役職の意味を解説

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現金出納員と取扱員の違いとは?出納機関の役職の意味を解説

金銭会計とは

@ 地方公共団体の経済行為全般にわたる予算・決算、収入・支出、契約、出納、財産などに関する事務を「財務」と総称しています。
A このうち、現金、物品の出納保管とこれに付帯する事務を「会計」と称しています。
B 会計は、その経理の種類に応じて、金銭に関する会計と物品に関する会計に大別されます。
C 地方公共団体の様々な需要を満たすための支払の財源となるべき現金の収納、需要を満たすための現金の支払と保管、これらに付帯する事務を「金銭会計」* と言います。

《用語解説》金銭会計

金銭会計とは、いわゆる金銭の収支に関する出納、保管およびこれらに関する経理手続を総称するものです。
地方公共団体の会計は、その経理の種類に応じて、金銭に関する会計、物品に関する会計および財産に関する会計に大別することができます。
金銭会計事務は、もっぱら会計管理者もしくはこれらの事務を補助する職員または指定金融機関、指定代理金融機関もしくは収納代理金融機関等の系列によって処理されます。
(『地方財務実務辞典』(学陽書房)より、抜粋)

 

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会計事務の機関(組織)

1 会計事務の機関の概要
@ 地方公共団体では、会計事務の公正な執行を確保するため、収支の命令を行う機関(命令機関)とその命令に従って具体的な出納を行う機関(出納機関)とを厳格に分離して、それぞれ別の機関にその権限に属する事務を行わせています。
A 通常、命令機関は首長が、出納機関は会計管理者が行っています。
B 現金の取扱いについては、その業務に熟達した金融機関を指定して現金の出納事務を取り扱わせ、出納事務の安全で効率的な運用を図っています。

 

2 金銭会計に関する職
金銭会計に関して命令機関と出納機関に置かれた職は、次のとおりです。

 

3 命令機関に置かれた職
(1)? 歳入徴収者
@ 収入の手続は、歳入を調査決定(調定)して納入の通知を行う命令機関に属する行為(徴収)と、現金を領収する出納機関に属する行為(収納)とに区分されます。
A 徴収の権限は、原則的には首長に属するものですが、その一部を課長、室長に専決権限を置いている自治体も多いです。
B この徴収の権限を有する者を「歳入徴収者」と言います。
C 歳入徴収者は、歳入を収入するときは、所属年度、収入科目、納入金額、納入義務者などを調定し、納入義務者に納入通知書を発行します。
→ 【自治法】第231条(歳入の収入の方法)、【自治令】第154条(歳入の調定及び納入の通知)

 

(2)? 収支命令者
@ 出納機関(会計管理者)が地方公共団体の経費を支出するときは、長の命令がなければ執行できません。
→ 【自治法】第232条の4(支出の方法)第1項
A 収支命令の権限は、原則的には首長に属するものですが、課長、室長、学校長、館長に委任している自治体も多いです。
B 支出命令に関する事務と会計管理者への収入通知に関する事務を行う者を「収支命令者」と言います。
C 収支命令者は、収入では歳入徴収者の調査決定に基づき調定額の通知を、支出では支出命令書の発行や命令内容の記録管理事務を行います。
D 収支命令者は、予算の有無と法令に適合するかどうかを調査します。
E 収支命令者は、あらかじめその職氏名と印鑑を会計管理者に届け出を行います。

 

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(3)? 支出負担行為者
予算事務規則等で、収支命令者と同じ範囲の職員を支出負担行為者として定めています。

 

(4)? 資金前渡受者
資金前渡を受けることができる者を資金前渡受者として定めています。

 

資金前渡受者は、資金前渡の経理方法によって受領した資金を、管理・支払し、又は、残金の精算を行います。

 

(5)? 給与取扱者
首長、又は、教育長が給与、旅費及び手当の支払事務を行うために給与取扱者を指定します。

 

首長は給与係長を、教育長は教員係長及び各学校の事務担当者を給与取扱者として指定します。

 

4 出納機関に置かれた職
(1)? 会計管理者
職員のうちから、首長が命じます。

 

ア 会計管理者の基本的職務権限
(ア) 会計事務の指導統括
(イ) 現金、有価証券、物品の出納保管
(ウ) 小切手の振出し
(エ) 現金と財産の記録管理
(オ) 支出負担行為の確認
(カ) 決算の調製と区長への提出

 

イ 収支命令に関する会計管理者の審査権
(ア) 会計管理者は、長の支出命令を受けた場合でも、その支出負担行為が法令や予算に違反していないことと支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出することができません。

 

これが会計管理者の「支出命令審査権」です。

 

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(イ) 会計管理者は、審査の結果、法令や予算に違反する事実があったときは、その支出命令書を収支命令者に返送します。
(ウ) 会計管理者は、支出命令書を審査し、その内容が適正であることを確認したときは、債権者に支払をします。

 

(3)? 経理員
会計室長以外の会計室職員は、経理員として会計事務を担当します。

 

(4)? 金銭出納員
@ 首長の任命により、会計管理者の命を受けて、現金、有価証券の収納と払込みなどの事務を担当します。
A 現金を取り扱う係の係長級職員を任命します。
ただし、規則の中で担当する職を定めている場合は、その職の任免をもって金銭取扱者の任免があったものとみなします。

 

この場合において、職の定めを置かない者が金銭取扱をしようとする時は、事前に任免手続を必要とします。

 

B 金銭出納員を任免したときは、人事係が、その職氏名などを会計管理者に通知します。
ただし、人事異動などの内示書類や発令通知簿などをもって、通知に換えることができます。

 

(5)? 現金取扱員
@ 首長の任命により、所属の金銭出納員の命を受けて、出納事務を行います。
A 金銭出納員の置かれた係の担当職員が任命されます。
ただし、規則の中で担当する職を定めている場合は、その職の任免をもって現金取扱員の任免があったものとみなします。

 

この場合において、職の定めを置かない者が現金取扱をしようとする時は、事前に任免手続を必要とします。
金銭出納員と現金取扱員の違いは、ざっくりと分かりやすく言えば、現金を取り扱う係の「係長」と「係員」ともいえます。

 

B 現金取扱員を任免したときは、人事係が、その職氏名などを会計管理者に通知します。
ただし、人事異動などの内示書類や発令通知簿などをもって通知と換えることができます。

 

5 監督責任と保管責任
次のとおり、金銭会計に携わるそれぞれの職員が負うべき監督責任と保管責任を定めています。

【自治法】第243条の2(職員の賠償責任)第1項

第243条の2 会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。次の各号に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、また同様とする。
1 支出負担行為
2 第232条の4第1項の命令又は同条第2項の確認
3 支出又は支払
4 第234条の2第1項の監督又は検査

 

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6 事務引継

 

(1)? 金銭出納員の事務引継
金銭出納員は、人事異動と所管する事務の移管に際し、次のとおり事務引継をしなければなりません。
@ 引継ぎの原因の発生の日から10日以内に、前任者は、その事務を後任者に引き継ぎます。
A 事務引継をするときは、双方の立会いのうえ、帳簿及び関係書類と現金又は有価証券の照合をし、引継ぎ年月日及び引継ぎが完了した旨を帳簿の最後のページに記載し、双方が署名して引継報告書を作成します。
B 引継報告書は、課長又は室長に報告し、点検を受けなければなりません。
C 前任者が事故のために引継ぎをすることができないときは、課長又は室長は、他の職員を命じて、事務引継をさせなければなりません。
D 出納員は、その所管に属する事務の全部又は一部がその所属を異にしたときは、前述と同様にして引継ぎをしなければなりません。更に次の明細書を添付しなければなりません。
ア 金銭(有価証券)事務引継明細書
イ 金銭(有価証券)引継明細書

 

(2)? 資金前渡受者の事務引継
資金前渡受者も(1)金銭出納員と同様です。
ただし、引継報告書の作成は、省略できます。

 

(3)? 収支命令者の事務引継
収支命令者の事務引継ぎについては、特段の規定はありません。

 

通常の事務引継の延長で取扱いすべき内容であるからです。

 

7 公金取扱金融機関
(1)? 指定金融機関
@ 地方公共団体の公金の収納と支払の事務を取り扱う金融機関です。
A 指定に当たっては、議会の議決を要します。
B 公金の収納、支払の事務と預金の事務を取り扱います。
C 収納代理金融機関において取扱う公金の収納と支払の事務を総括します。
D取扱うことのできる業務は、公金の出納に限られています。

 

(2)? 指定代理金融機関
@ 指定代理金融機関は、指定金融機関の取り扱う収納と支払の事務の一部を代理して取り扱う金融機関です。
A 首長があらかじめ指定金融機関の意見を聴いて指定します。その指定に当たっては、議会の議決を要しません。

 

(3)? 収納代理金融機関
@ 収納代理金融機関は、指定金融機関の取扱う収納事務の一部を代理して取扱う金融機関です ※。支払事務を取扱わない点が指定代理金融機関と異ります。
A 首長があらかじめ指定金融機関の意見を聴いて指定します。その指定に当たっては、議会の議決を要しません。

 

(4)? 公金取扱金融機関の指定・変更と告示
@ 公金取扱金融機関を指定・変更したときは、告示しなければなりません。
→ 【自治令】第168条(指定金融機関等)第10項

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