新公会計制度に伴い必要となる会計処理
1 複式情報の登録
官庁会計に加えて、複式簿記・発生主義会計の処理を行なうためには、歳入・歳出の予算科目を財務諸表の勘定科目(複式情報)に変換する仕組みが必要となる。この変換する仕組みが「仕訳区分」である。仕訳区分は、収入の調定や支出命令の内容に応じて起こりうる仕訳をあらかじめパターン化している。
(1) 歳入業務で入力する複式情報
・歳入仕訳区分 歳入の予算科目から財務諸表の勘定科目へ変換するための情報をいう。
(2) 歳出業務で入力する複式情報
・歳出仕訳区分 歳出の予算科目から財務諸表の勘定科目へ変換するための情報をいう。
・資産区分 有形固定資産形成に係る支出時に、資産ごとの建設仮勘定の金額を容易に把握するために設定する情報をいう。
スポンサードリンク
2 財産の照合
(1) 現金支出を伴う資産取引(建物建設、用地購入等)
予算執行サブシステムの資産残高と公有財産・備品・インフラ等管理サブシステムの資産残高の照合を行い、データの整合性の確保を図る。
(2) 現金支出を伴わない資産取引(減価償却、除却、寄贈等)
公有財産・備品・インフラ等管理サブシステムにより登録された資産情報を公会計サブシステムに送り、貸借対照表上の各資産の残高に追加する。
3 建設仮勘定
・資産に係る建設工事で資産が完成するまでの間、支出金額を計上するために設けられる勘定科目をいう。供用開始後、建設仮勘定から本来の勘定科目に振替を行なう。
・建物や工作物の工事、道路等の工事などで有形固定資産を形成する支出を行った場合、工事完了後、該当する資産の勘定科目に計上(公有財産台帳等への登録)する。多くの場合、完成までに複数年の期間を要するため、この期間は本来の勘定科目に計上することができないことによる。
【建設仮勘定の一連の流れ】
@ 資産区分の作成
・建設仮勘定に係る仕訳と建設仮勘定台帳との紐付を行う。
(資産ごとの建設仮勘定の金額を容易に把握するために設定する。)
A 支出命令書の作成
・仕訳 BS:建設仮勘定/BS:その他未払金
(償却資産の貸借対照表価額 + 減価償却累計額)
B 支出命令書の支出(執行)
・仕訳 BS:その他未払金/BS:当座預金
(償却資産の貸借対照表価額 + 減価償却累計額)
C 建設仮勘定の登録
・支出命令書作成時(A)と同一の資産区分(@)に登録する。
(償却資産の貸借対照表価額 + 減価償却累計額)
D 建設仮勘定の精算(資産完成後)
・仕訳 BS:建設仮勘定精算分/BS:建設仮勘定
スポンサードリンク
E 建設仮勘定から公有財産・インフラ資産への登録
・仕訳 BS:資産(例:建物)/BS:建設仮勘定精算分
(償却資産の貸借対照表価額 + 減価償却累計額)
F 資産の照合(登録漏れ等がないように月次単位で確認)
・残高照合表により「BS:期末残高」と「公有財産やインフラ資産の期末残高」との照合を行う
4 決算整理
財務諸表作成に必要な決算整理として、主に以下の事務を行なう。
(1) 減価償却費の算定・計上
減価償却費は公有財産・備品・インフラ等管理サブシステムにおいて算定を行い、公会計サブシステムへデータ連携により自動仕訳を行なう。
(2) 中事業別に配賦
人件費・引当金等算出入力シートを用いて、歳出中事業別の金額を算出する。
(3) 各種引当金の計上
・退職給与引当金については、総務部職員課で算定し、その結果を各課で計上する。
・賞与引当金については、経営企画部財政課で算定し、その結果を各課で計上する。
・貸倒引当金及び不納欠損引当金については、過去の実績率に基づき算定した額を各課
で計上する。
(4) 資産残高の検証
・財務諸表の正確性を確保するため、公会計サブシステムが管理する貸借対照表上の資産の現在高と公有財産・備品・インフラ等管理サブシステムが管理する資産の現在高の照合を行なう。