会計の区分と会計年度所属区分とは

会計の区分と会計年度所属区分とは

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会計の区分と会計年度所属区分とは

会計の区分(地方自治法第二百九条)

「単一予算主義の原則」とは、「普通地方公共団体の会計は、本来ひとつの会計で経理すべきであるという原則」をいいます。
しかしながら、地方自治法では、この原則とは別に、事務又は事業の内容、予算の編成上の理由、執行上の理由等から、一般会計と区分し、特別会計を設置し、及び経理することを認めています。

 

(1) 一般会計

特別会計を設けて経理すべきものを除いた一切の歳入歳出予算を含む会計をいいます。
普通地方公共団体の予算の本体をなすものです。

 

(2) 特別会計

単一予算主義の原則の例外である特別会計は、法令により設置が義務付けられているものを除くほか、次に掲げる場合に限り、条例でこれを設置することが認められます。

 

1 特定の事業を行う場合
例 国民健康保険事業、介護保険事業、後期高齢者事業、交通事業、水道事業、市場事業、印刷事業、病院事業等

 

2 特定の歳入をもって特定の歳出に充て、一般の歳入予算及び歳出予算と区分して経理する必要がある場合
例 証紙収入特別会計、各種資金特別会計、記念造林事業等

 

会計年度所属区分

(1) 会計年度所属区分とは

「会計年度所属区分」とは、普通地方公共団体における個々の収入又は支出がどの年度の会計年度に所属するかを判定し、区分することをいいます。
会計年度所属区分を判定するための基準は、次に掲げる2つの考え方があります。

 

@ 発生主義会計
「発生主義会計」とは、会計原則のひとつで、「現金の受け渡し、つまり、現実の収入又は支出がされた日に関わらず、その原因の発生した日の属する年度に着目する基準」をいいます。
民間企業では、企業会計といわれる発生主義会計を採用しています。
また、平成19年10月以降、国及び普通地方公共団体では、現金主義会計といわれる官庁会計を採用し、継続して運用をしつつ、新地方公会計(以下「新公会計」といいます。)制度により、企業会計の手法を導入する取り組みがなされています。

 

A 現金主義会計
「現金主義会計」とは、会計主義のひとつで、「債権債務といった収入又は支出の発生事実にかかわりなく、現金の受け渡し、つまり、現実の収入又は支出がされた日の属する年度に着目する基準」をいいます。
官庁会計といわれる国及び普通地方公共団体では、この現金主義会計を採用しています。

 

(2) 会計年度所属区分

@ 歳入(地方自治法施行令第百四十二条)

 

歳入の種類 所属区分 地方自治法施行令

納期の一定している
収入(※)

会計年度の末日までに申告があったとき又は通知書等(※2)を発したとき。 「特別徴収の方法によって徴収する市民税及びこれと合わせて徴収する県民税(※5)」以外の収入 納期の末日(※4)の属する会計年度

第百四十二条第一項第
一号

特別徴収の方法によって徴収する市民税及びこれと合わせて徴収する県民税(※5) 特別徴収義務者が地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百二十一条の第一項又は第二項ただし書の規定による徴収すべき月の属する会計年度

第百四十二条第一項第
一号ただし書

納期の末日の属する会計年度の末日(※6)までに申告がなかったもの又は通知書等を発しなかったもの 申告があった日又は通知書等を発した日の属する会計年度 第百四十二条第二項
随時の収入(※7) 通知書等を発するもの 当該通知書等を発した日の属する会計年度

第百四十二条第一項第
二号

通知書等を発しないもの 直下(↓)に掲げる収入以外の収入 領収した日(※8)の属する会計年度

第百四十二条第一項第
三号

地方交付税、地方譲与税、交付金、負担金、補助金、地方債その他これらに類する収入及び他の会計から繰り入れるべき収入 当該収入を計上した予算の属する会計年度

第百四十二条第一項第
三号ただし書

歳入に附帯する収入 本債務(※9)に係る督促手数料、延滞金及び滞納処分費 本債務に属する会計年度 第百四十二条第三項

 

 

 

※ 「納期の一定している収入」とは、現実に納入すべき期日が、法令又は条例であらかじめ具体的に定められている場合や一個の行政処分又は契約等により、反復・継続する複数回の納入すべき期日が定められている場合をいいます。
ただし、その法令又は条例の規定が「納税通知書により定めるところ」などと規定され、納入すべき期日が当該法令又は条例に具体的に定められていない場合や一個の行政処分又は契約等で定められた納期(納入すべき期日をいいます。)が、1回のみである場合を除きます。
しかしながら、これらに該当するものであっても、地方交付税、地方譲与税、交付金、負担金、補助金、地方債その他これらに類する収入及び他の会計から繰り入れるべき収入(以下「地方交付税等に類する収入等」といいます。)は、常に臨時の収入となります。

 

※2 「通知書等」とは、納入通知書(※3)又は納税の告知に関する文書(地方税法第十三条に基づいて発する文書をいいます。)をいいます。

 

※3 「納入通知書」とは、納付義務者に納付義務を通知する文書をいいます。
地方自治法第二百三十一条若しくは地方自治法施行令第百五十四条第二項により、調定をしたときは、原則直ちに送付するものとなります。
ただし、次に掲げる場合は、この限りではありません。
また、納入通知書に指定する納期限は、会計規則等の規定によります。(例 調定の日から20日以内)
・ 納入者が納入通知書によらず納入したもの及び元本債権に係る延滞金による調定の場合
・ 会計管理者と協議の上、口頭、掲示その他の方法により納入者に通知して収納する場合
・ 会計規則等の規定により、納付書で納入をする場合

 

※4 この「納期の末日」とは、その日が休日であって、法令(民法第百四十二条、地方自治法第四条の二第四項、地方税法第二十条の五等の規定をいいます。)、条例又は規則の規定(この備考において「延長規定」といいます。)が適用されることにより、その翌日(その翌日が休日であった場合はその翌日)をその期限とみなすことができる場合であっても、その延長規定の適用がないものとした場合の納期の末日をいいます。
つまり、納期の末日が休日でも、会計年度所属区分を判断する上では考慮しないという趣旨です。
同じ「納期の末日」でも、※6の「納期の末日」とは解釈が違うことに注意してください。

 

※5 「特別徴収の方法によって徴収する住民税及びこれと合わせて徴収する県民税」とは、地方税法第三百二十一条の三の規定による特別徴収の方法によって徴収する特別住民税及びこれと合わせて徴収する県民税(同法第三百二十一条の五の二の規定により納入するものを除きます。)をいいます。

 

※6 「納期の末日の属する会計年度の末日」とは、延長規定の適用があるときは、その延長された日の属する会計年度の末日(3月31日)をいいます。同じ「納期の末日」でも、※4の「納期の末日」とは解釈が違うことに注意してください。

 

※7 「随時の収入」とは、「納期の一定している収入」以外の収入であって、「歳入に附帯する収入」以外の収入をいいます。

 

※8 「領収した日」とは、次に掲げる日を含みます。
・ 地方自治法第二百三十一条の二第三項の規定による口座振替の方法による預金の受け入れの日、有価証券の受領の日等を含みます。
・ 金銭出納員又は私人に収納等の事務を委託した場合の受託者が、その事務(収納等の事務を委託した場合は、委託事務)により収納した収納金の歳入を、その納入者から実際に納入を受けた日をいいます。会計規則等の規定による、当該収納金を、指定金融機関又は収納代理金融機関に払い込む日は、これに該当しません。

 

※9 「歳入に附帯する収入」とは、公債権の歳入(※9において「本債務」といいます。)に係る督促手数料、延滞金及び滞納処分費(※9において「督促手数料等」といいます。)をいいます。
督促手数料等の会計年度所属区分は、当該督促手数料等のもととなる、本債務に属する会計年度に区分します。
また、この区分は公債権に限られるものであり、私債権の歳入にかかる同種の歳入、つまり、遅延損害金等の会計年度所属区分は、随時の収入に該当し、通知書等を発しないものとして区分します。

 

※10 「公債権」とは、法令等に基づいた行政庁の処分といった公法上の原因により成立し、又は発生する債権をいい、その根拠は、地方自治法、地方税法、国民健康保険法、生活保護法等といった法規によるものとなります。
しかしながら、法規によるものであっても、公営住宅等その債権の性質が、民法等私法上の原因から発生したものとみなされる債権は、私債権と分類
されることには注意が必要です。

 

※11 「私債権」とは、双方の当事者の合意により成立する契約等といった私法上の原因に基づいて発生する債権をいい、その根拠は民法等の私法といった法令によるものとなります。
また、私債権は、国や普通地方公共団体であっても、私人の立場で私法を根拠とした契約等を行なえば私法が適用され、それにより発生した債権は、公債権に対し、私債権と呼ばれます

 

A 歳出(地方自治法施行令第百四十三条)

 

経費の種類 所属区分 地方自治法施行令

@ 地方債の元利償還金、年金、恩給の類(※)

支払期日(※2)の属する会計年度

第百四十三条第一項第
一号

A 給与その他の給付(※3)(地方債の元利
償還金、年金、恩給の類を除きます。)

旅費以外の給付 支給すべき事実の生じたときの属する会計年度(※5)

第百四十三条第一項第
二号

旅費 旅行の期間が単年度の場合の旅費
旅行の期間が2年度にわたる場合の旅費 当該2年度のうち、前の会計年度の歳出予算から概算で支出し、精算にって生ずる返納金又は追給金は、その精算を行った日の属する会計年度の歳入又は歳出 第百四十三条第二項

B 地方公務員共済組合負担金、社会保険料(労働保険料を除きます。)
(※6)、賃借料、光熱水費、電信電話料の類

支出の原因である事実の存した期間の属する会計年度(※7)

第百四十三条第一項第
三号

C 賃借料・光熱水費・電
信電話料の類

下の欄に該当しないもの
その支出の原因である事実の存した期間が2年度にわたるもの 支払期限の属する会計年度

第百四十三条第一項第
三号ただし書

D 工事請負費、物件購入費、運賃の類及び補助費の類(※8)で相手方の行為の完了があった後支出するもの 当該行為の履行があった日(※9)の属する会計年度

第百四十三条第一項第
4号

E @からDまでに掲げるどの経費にも該当しない経費(※10) 支出負担行為をした日の属する会計年度(※11)

第百四十三条第一項第
五号

 

※ 「市債の元利償還金、年金、恩給の類」とは、継続的給付の性質を有し、法令等により支払期日が一定しているものをいいます。
また、土地改良に基づき延納を認められた分担金、遺族扶助料等が含まれます。

 

※2 恩給における、「支払期日」とは、恩給の裁定の期日でなく、事実発生の日の属する会計年度をいいます。

 

※3 「給与その他の給付」とは、地方自治法第二編の第八章給与その他の給付と同じでものであり、費用弁償及び旅費も含まれます。

 

※4 「旅行の期間」における旅行が、外国旅行である場合は、その準備期間を期間に含めます。

 

※5 退職手当における、「支給すべき事実の生じたときの属する会計年度」とは、退職又は死亡の日の属する会計年度をいいます。

 

※6 「社会保険料(労働保険料を除きます。)」とは、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、厚生年金保険法等の規定により普通地方公共団体が事業主として納付する保険料をいいます。

 

※7 「支出の原因である事実の存した期間の属する会計年度」とは、支出負担行為を新年度以後に行って良いという特例まで定めたものではありません。

 

※8 「補助費の類」とは、補助金、負担金等をいい、寄附金は含みません。

 

※9 「当該行為の履行があった日」とは、検査の日又は所有権移転登記履行の日をいいます。この検査の日とは、契約事務規則等の規定による完了検査等の日をいいます。

 

※10 「@からDまでに掲げるどの経費にも該当しない経費」には、損害保険料及び私設の郵便差出箱の経費を含みます。

 

※11 寄附金における「支出負担行為をした日の属する会計年度」とは、その寄附契約を締結した日の属する会計年度をいいます

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