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会計事務の機関について

地方自治法では、普通地方公共団体の会計事務(金銭会計事務をいいます。以下同じです。)の公正な執行を確保するため、歳入の徴収・調定、支出負担行為、支出命令等を行う命令機関と、これらに基づいて現金の収納及び支払い、財産の記録管理等を行う出納機関を設置し、それぞれ権限を分けています。
また、現金の取り扱いは、その業務に熟達した金融機関を指定し、現金の出納事務を取り扱わせ、出納事務の安全で効率的な運用を図っています。

 

命令機関

地方自治体の命令機関の構成は次のようなものがあります。
首長の補助機関である職員(以下「補助機関職員」といいます。)が、規則等で首長により専決権限を委ねられ、又は委任され、実際にその事務を執り行います。

 

名称(委任等の別) 委任等を受けた者 委任等がなされている事務(根拠法規)

歳 入 徴 収 者
( 専 決 )

課長

課に属する歳入の徴収に関する事務。
ただし、滞納処分、強制執行、訴えの提起に関する事務その他別に定める事務を除きます。

収 支 命 令 者
( 委 任 )

課長、学校長及び館長 収入通知及び支出命令に関する事務

支出負 担 行 為 者
( 委 任 )

課長、学校長及び館長 法令又は予算の定めるところによる、支出の原因となるべき契約その他の行為に関する事務(地方自治法第二百三十二条の二)

資 金 前 渡 受 者
( 委 任 )

課長、学校長、館長及び各保育園長 資金前渡を受けた資金(現金)を管理し、支払いし、及び精算することに関する事務

給 与 取 扱 者
( 委 任 )

給与福利係長、教職員係長
及び各学校の事務担当者

給与、旅費及び児童手当の支払いに関する事務

 

専決

法律により与えられた首長の権限に属する事務を、規則等の規定により補助機関職員が、首長の名において恒常的に決定を行うことをいいます。
最終的な決定は、当該補助機関職員が行いますが、外部には首長の名で処分等がされ、法的には、本来の権限を持つ首長の行為となります。

 

委任

法律により与えられた首長の権限に属する事務を、規則等の規定により補助機関職員が、自己の名において恒常的に決定を行うことをいいます。
最終的な決定は、当該補助機関職員が行い、外部にも当該補助機関職員の名と責任において処分等がされ、法的に、法律により権限を委任さ
れた補助機関職員の行為となります。

 

出納機関

地方自治体の出納機関の構成は次のとおりです。
補助機関職員が、首長により任命(以下「任命」といいます。)され、実際にその事務を執り行います。また、会計事務を指導統括する者として、会
計管理者が設置されています。

 

名 称 委任等 を 受 け た 者 委任等されている事務 ( 根 拠 法 規 )
会計管理者 任命された会計室の長 自治体の会計事務の指導統括に関する事務(地方自治法第百六十八条・第百七十条・第百七十一条)
金銭出納員 任命された係長 会計管理者の命により、又は委任を受けた、現金及び有価証券の出納保管をつかさどることに関する事務(地方自治法第百七十一条第一項から第四項まで)
現金取扱員 任命された係員 所属の金銭出納員の命を受けた会計事務(地方自治法第百七十一条第一項から第三項)
会計職 員 任命された会計室職員のうち、会計管理者以外の職員 上司(会計管理者及び職制上の上司をいいます。)の命を受けた会計事務。ただし、現金及び有価証券の出納及び保管を除きます。(地方自治法第百七十一条第一項から第三項まで

 

※ 地方自治法第百七十一条第一項の規定による出納員とは会計規則上の金銭出納員を、その他の会計職員とは会計規則上の現金取扱員及び会計職員をいいます。なお、会計室の金銭出納員及び現金取扱員は、その他の会計職員のうち会計職員にも同時に任命されていることとなります。

 

※2 「つかさどる」とは、管掌ともいわれ、管理、監督、統括などを意味します。このため、金銭出納員は、会計管理者の命により、又は委任を受け、現金・有価証券の出納保管等の事務の管理、監督又は統括しています。

 

指定金融機関制度

指定金融機関制度とは

地方自治法第二百四十三条では、「法令に特別の定めがある場合を除き、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行わせてはならない。」とされています。
しかし、普通地方公共団体は、日常的に多額の公金を取り扱っています。
これらの事務及び内容は、膨大かつ複雑であることから、普通地方公共団体の出納機関の職員のみで行うことが困難となっています。
このことから、地方自治法では、普通地方公共団体が自ら行う必要がある意思決定等を除き、適正な公金の取り扱いを確保するため同条の例外として「指定金融機関制度」を設け、適切な金融機関に公金の取り扱いの事務を行わせることができるようにしています。
「指定金融機関制度」とは、次の表に掲げるものをいい、これらの金融機関を指定し、公金の取り扱いの事務の一部を取り扱わせる制度の総称となります。

 

指定金融機関一覧

指 定 金 融 機 関

手続:普通地方公共団体の議会で議決し、及び告示をすること等により指定することができます。また、都道府県は知事に指定金融機関の指定義務がありますが、区市町村にはありません。そのため区市町村の長は、指定金融機関を指定しないことも、することもできます。また、指定金融機関の指定は、1つの金融機関に限られます。
役割:1 普通地方公共団体における公金の収納又は支払事務
   2 指定代理金融機関及び収納代理金融機関の事務につき、普通地方公共団体に対し、これらの金融 機関を代表し、責任を持つ。
根拠:地方自治法第二百三十五条第二項及び地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百六十八条第二項、第七項及び第八項

指定代理金融機関

手続:指定金融機関に意見聴取し、及び告示をすること等により指定することができます。なお、都道府県及び区市町村に関わらず普通地方公共団体の長には、指定代理金融機関の指定義務はありません。また、複数の指定代理金融機関を指定できます。
役割:定金融機関の取り扱う収納又は支払事務の一部の事務
根拠:地方自治法施行令第百六十八条第三項、第七項及び第八項

収納代理金融機関

手続:指定金融機関に意見聴取し、告示をすること等により指定することができます。なお、収納代理金融機関の指定義務はありません。また、複数の収納代理金融機関を指定できます。
役割:指定金融機関の取り扱う収納の事務の一部の事務
根拠:地方自治法施行令第百六十八条第四項、第七項及び第八項

収納事務取扱金融機関

手続:指定金融機関を指定していない場合に、告示等をすることにより、指定することができます。なお、収納事務取扱金融機関の指定義務はありません。また、複数の収納事務取扱金融機関を指定することができます。
役割:会計管理者が取り扱う収納の事務の一部の事務
根拠:地方自治法施行令第百六十八条第五項及び第八項

 

指定金融機関告示例

○○市告示第 ○○ 号

 

○○市の公金の収納及び支払の事務を行う金融機関の指定について

 

  令和3年4月1日
                         ○○市長長 山田 太郎

 

○○市の指定金融機関及び収納代理金融機関を次のとおり指定します。

 

1 指定金融機関
  名    称 株式会社 ○○銀行
  事務取扱店舗 日本国内で業務を営むすべての店舗(代理店を除く。)

 

2 収納代理金融機関
  ○○県の指定代理金融機関及び収納代理金融機関

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