前金払とは|公務員の財務
(1) 前金払の意義
「前金払」は、債権者及び債務額は確定していても、その債権の性質上、相手方の債務の履行を待たずに、債務金額の一定額を支払う特例の支払方法となります。また、この前金払はどんな経費の支払いでもできる訳ではなく、(2)及び(3)の経費に限られます(自治法第二百三十二条の五第二項、地方自治法施行令第百六十三条)。
(2) 前金払が認められる経費(地方自治法施行令第百六十三条)
@ 官公署に対して支払う経費
A 補助金、負担金及び交付金
B 前金で支払をしなければ契約することが困難な請負、買入れ又は借入れに要する経費
C 土地又は家屋の買収又は収用によりその移転を必要とすることとなった家屋又は物件の移転料
D 事務事業に使用する土地、家屋又は物件の購入代金
E 定期刊行物の代価、定額制供給に係る電気料及び日本放送協会に対して支払う受信料
F 試験、研究、調査又は教育等の受託者に支払う経費
G 運賃
H 有価証券保管料
I 保険料
J 公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二十七年法律第百八十四号)第五条の規定に基づき登録を受けた保証事業会社の保証に係る土木工事、建築工事及び設備工事の請負に要する経費
(3) 工事等の前金払が認められる経費
土木、建築及び設備等の工事並びにこれらの工事に係る設計、調査、測量及び監理委託(以下「工事等」といいます。)の前払金は、地方公共団体ごとに規則等で取り扱いを定めていることが一般です。
(4) 前払金と部分払
部分払(出来高払と呼ぶこともあります。)は、その名称から前金払に関連した支払いのようにも見えますが、市の検査に合格した工事若しくは製造その他の請負契約に係る既済部分又は物件の購入契約に係る既納部分に対し、全体の完済前又は完納前に、全体の代価の一部を債権者に支払う支払方法であり、前金払とは性質が異なります。また、部分払は、通常の支払方法の一種であり、支出の特例ではありません。