支払遅延の防止について|政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用

支払遅延の防止について|政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用

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支払遅延の防止について|政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用

1 支払遅延の防止

契約に係る支払は、政府契約の支払遅延防止等に関する法律を踏まえた支払遅延防止に取り組んでください。これに反すると、遅延利息の支払義務やその内容により懲戒処分を受けることがあります。

 

(1) 給付の完了の確認又は検査の時期

(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第五条)
契約等で別に定めがある場合を除いて、給付の完了の確認又は検査の時期は、市が相手方から給付を完了した旨の通知を受けた日から工事については 14 日、その他の給付については 10 日以内の日です。
ただし、検査し、その給付の内容の全部又は一部が契約に違反し又は不当であることを発見したときは、その是正又は改善を求めることができます。この場合は、相手方から是正又は改善した給付を終了した旨の通知を受けた日から前述の期間の起算日とします。

 

(2) 支払の時期

(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第六条)
対価の支払の時期は、市が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求書を受理した日から工事代金については 40 日、その他の給付に対する対価については 30 日以内の日としなければなりません。
この支払の時期は、請求書が郵送等で市に到着した日から起算されます。なお、不備があった場合の受理日は、適法な支払請求書が到着した日から起算されます。
また、一般的に適法な支払請求書を受理した日とは、請求書に記載されている日付で判断されることが多くあるため、当該日付に誤りがある場合や空欄であった場合も、その是正を指示します。

 

(3) 遅延利息の額

(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第八条)
約定の支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、約定の支払時期到来の日の翌日から支払いをする日までの日数に応じ、当該未支払金額に対し、財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率(※)を乗じて計算した金額を下るものであってはならないとされています。
※ 年2.7パーセント(昭和二十四年十二月十二日大蔵省告示第九百九十一号)(令和2年4月1日現在)

 

(4) 懲戒処分

(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十三条)
市の会計事務を処理する職員が故意又は過失により市の支払を著しく遅延させたと認めるときは、その職員の任命権者は、その職員に対し懲戒処分をしなければなりません。

 

(5) 地方公共団体への適用

(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条)
同法(第十一条第二項及び第十二条を除きます。)の規定は、地方公共団体のなす契約に準用します。

 

(6) 契約条項

地方公共団体ごとに定めるの契約条項についても次の例の規定を設け、支払期限や遅延損害金について規定し、円滑な支払いを債権者に担保していることが一般です。なお、次の規定は、「市契約担当者」を甲とし、「供給者」(債権者をいいます。)は乙としています。

 

【参考】消耗品、備品、総価の契約条項の例

(請求及び支払い)
第○条 甲は、検査完了後、乙から適法な支払請求書を受理した日から 30 日以内に甲の指定する金融機関において、当該請求額を支払うものとする。
2 前項の規定による支払いが期限又は期間内に終了しないときは、甲は法定の遅延利息を支払うものとする。

 

(遅延違約金)
第○条 乙は、指定期日までに物品の納入を完了しないときは、遅延日数に応じ、契約金額につき、政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和 24 年法律第 256 号)第8条の規定に基づき財務大臣が決定する率を乗じて計算した金額(閏年も 365 日として計算する)を違約金として、甲に納付するものとする。ただし、その違約金の額に 100 円未満の端数があるとき又は 100 円未満であるときは、その端数額又はその全額を切り捨てるものとする。
2 第○条の規定による履行を指定した日までに完了しないときは、乙は前項の規定によって違約金を納付するものとする。
3 違約金徴収日数の計算については、検査に要した日数を算入しない。

 

(7) 支払遅延の影響

支払の遅延は、債権者に対して損害を与える行為です。その結果、債権者に「苦しい資金繰り」を強いることにもなり、その額によっては、「経営の危機」を生じさせることも有ります。また、市政に対する信用や信頼を失わせる行為となります。
行政が行う支払の遅延は許されないことだという認識が必要です。

 

2 迅速で効率的な処理のために

「事業決定原議」と「支出決定原議」は、よく事務内容を精査して起案してください。特に支出負担行為となる「支出決定原議」は、文書管理システムにより必ず作成します。財務会計システムで支出命令書を作成するために作成する「支出決定原議(支出負担行為書)」は、会計事務上の「支出決定原議」に当たりません。

 

3 正確・着実な処理

(1) 着実な実務処理

支出処理は、次のように、順を追って着実に実務を処理していくことが大切です。手順の前後や事務の省略が間違いの原因となります。
@ 購買物品などの契約処理からの支出
契約処理によって、購買した物品の支出は、必ずその「契約番号」に基づいて支出命令書等を作成してください。
別の方法で、支出命令書等を作成すると、支出負担行為や予算差引の重複などが発生し、結果的に2重支払いや未執行などの不適切な会計事務が発生する可能性が生ずることとなります。

 

A 支出決定原議(支出負担行為書)などからの支出
財務会計システムを用いて支出決定原議(支出負担行為書)を作成した場合は、その「決定書番号」に基づいて支出命令書を作成してください。
別の方法で、支出命令書を作成すると、支出負担行為や予算差引の重複などが発生し、結果的に2重払いや未執行などの不適切な会計事務が発生する可能性が生ずることとなります。

 

B 兼命令書からの支出
兼命令書の利用に当たっては、支出負担行為と支出命令を同時に行うこととなるので、限定的に運用しているところです。支出負担行為手続規程等に基づき正しい運用を行ってください。

 

(2) 予算差引簿の確認

財務会計システムの稼動に伴い、手書きによる予算差引簿への記帳が不要となり、それぞれの場面で、簿記がシステムによって自動的に行われます。従って、誤ったシステム運用を行うと、簿記が誤ったまま記帳されます。結果、年度末に未執行など不適切な会計事務が生ずることとなります。このため、財務会計システムを操作するごと、又、その他定期的に帳簿の内容確認を行い、正しい会計事務を行っているか点検を行ってください。

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