仕様書の書き方等|公務員が知っておきたい契約事務まとめ
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公務員の契約事務担当者が知っておくと便利な、「仕様書の書き方」「契約の種類」「契約の流れ」などを分かりやすく解説していきます。
項目ごとのさらなる詳細はリンク先を参照してください。
仕様書の書き方&サンプル例
仕様書はどんな履行を求める契約かを業者に示し、契約書の一部となる重要な書類です。
仕様書に記載されていない事項の履行を求めることはできないので、様式に沿った内容で作る必要があります。具体的には以下のような項目は必須となります。
1.件名(ex.みどりまつり実施計画策定業務委託)
2.委託期間(ex.契約締結日 〜 令和3年3月31日(金)※開始日は、「契約日から」等にします)
3.成果物納入場所(ex.みどり市健康部推進課)
4.委託内容(ex.みどり市主催の地域実施計画を作成する。)
5.成果物の提出(ex.実施計画は、成果物ごとに別紙委託内容に示す時期に提出する。)
6.秘密保持(ex.受託者は、本委託に基づく調査等で知り得た情報を委託者以外の第三者に漏らしてはならない。)
7.支払方法(ex.検査終了後、請求に基づき支払う。)
8.その他
委託契約、印刷契約、賃貸借契約、など契約ごとの具体例サンプルもご用意しています。
詳しくはこちら:業務委託契約の仕様書の書き方とサンプル例|公務の印刷契約など
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公務員が関わる契約の種類は?
@ 総価契約:単価・数量及び契約金額(総価額)が確定されたうえで行う契約。
A 単価契約:内容または性質上その数量を確定できない場合に、その規格及び単位あたりの価格だけを決定する契約。
B 概算契約:概算数量(金額)で契約し、数量確定後、清算することを前提にした契約。
C 長期継続契約:契約期間を複数年とする続契約(例:パソコンの賃貸借、エレベータ等昇降機の保守等)
D 準備契約:入札等の契約締結に必要な処理を年度開始前に予算が議決されることを前提とした準備行為としておこなっている非常に例外的な契約処理
E 附合契約:法令・約款等の定めにより、契約当事者が具体的内容を協定することなく機械的・一律的に契約が成立する定型化された契約(例:電気・ガス・水道・電話・インターネット加入に関する契約)
F準附合契約:附合契約に準ずる契約(共同印刷および共同購入契約・医師会および歯科医師会との医療検査等に関する契約・訪問指導等これらに類する契約など)
詳しくはこちら:自治体の単価契約と総価契約の違いとは?長期継続、準備契約との違い
請負工事契約締結の流れ
@ 起工・・・設計書・図面等の作成をします。
A 起案・・・「起工兼契約締結依頼書」を作成します。※業者選定もあわせておこなう(3社)
B 決裁・・・「起工兼契約締結依頼書」の決裁をします。通常、課長決裁です。
C 指名通知「起工兼契約締結依頼書」で選択した業者へ指名の旨を電話等にて伝える。
D 仕様書渡し・・・指名業者に対し仕様書及び設計書の引き渡しをおこなう。
E 見積合せ・・・指名業者を一同に集め、業者が用意してきた見積書を提出させ、業者名と金額をその場で読み上げた後、最後に最低価格を伝える。
F 落札決定・・・最低価格を伝えた後、予定金額と照合し、予定金額の範囲内であれば、「予定金額内ですので最低価格○○円で梶「△が落札となります」と伝える。
G 契約書(請書)の交付・・・落札者のみを残し、あとの2社は帰させる。「請書」に必要書類を添付し、落札業者へ手渡す。提出期限は一週間以内とする。
H 決定伺書の決裁・・・「契約締結決定伺書」に見積合せで業者から徴収した見積書(3社分)を上から金額の低い順に綴り、決裁をとる(課長決裁)
I 請書の審査・・・業者が提出した「請書」の添付書類、印鑑、収入印紙等を確認し、問題なければ「請書」の確認欄に押印する
J 請書完成・・・「請書」、「契約締結決定伺書」、「起工兼契約締結依頼書」の順に綴り完成
K 着工
L 竣工・検査
詳しくはこちら:公務員の契約締結事務の流れ【請負工事契約】|起案、見積もり、着工など
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印刷・製本発注契約における注意点
印刷製本は、物品購入と異なり、契約上製造の請負になります。
また、前回作成した印刷物の「現物」などがあれば、締結依頼の際に「現物」を用意します。
文書上の誤字・脱字等、主管課が間違いないよう確認する必要があります。
※納期の設定については、版の作成・校正・テスト印刷など、発注する印刷物に応じて相当の作成期間を要するため、十分に余裕をもって契約締結依頼を行う必要があります。
契約係が間に入る場合、契約締結依頼書が到着後、業者選定までに標準で2〜3週間程度かかるので注意がします。
予定金額の積算を業者への調査で行う場合は、必ず2社以上の複数業者で行うようにします。(物品購入の場合も同様。)
詳しくはこちら:公務員の印刷・製本発注契約における注意点とは?【製造の請負】
準備契約&議会に付す契約
会計年度独立の原則により、年度開始前に入札や契約締結を行うことはできません。
しかし、4月1日に、契約締結しなければならない案件は多数存在します。
非常に例外的な処理が「準備契約」です。以下のようなスケジュールとなります。
@ 契約の依頼(1月中旬)
A 契約業者、契約金額の決定(3月中)
B 契約の締結処理(決裁は4月〜)
併せて議会の承認が必要な契約についても解説します。
詳しくはこちら:準備契約とその根拠とは?予算成立前、年度開始前の例外的契約
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印紙が必要になる契約とは
印紙税法に基づき一定の課税文書に対して課される税金を払うときに印紙を使います。
業者は契約書の正本に印紙を貼付する必要があります。
ただし単純に物の売買であれば印紙は必要ありません(消耗品・備品・燃料等)。
一方、請負になるものは印紙が必要になります(委託・印刷・修繕・工事等)。
消耗品・備品の購入であっても、例えばボールペンに刻印をしてもらうときなど、請負にあたることもあるので注意しましょう。
印紙税額は契約書に記載されている金額により決まりますが、主管課契約の範囲で印紙が必要になる請負契約では、200円の印紙が貼付されていれば問題ありません。(1万円以上100万円以下)
詳しくはこちら:印紙が必要になる契約とは?公務における修繕や単価契約など
主管課契約の具体的な流れ
主管課で契約を取り交わす場合、以下の表の流れで処理を行います。
@契約内容の決定(購入物品、納品期限を決める)
A予定金額の設定と業者選定(インターネットで市場価格を調べ予定金額を設定(※カタログで価格を調べる場合は、カタログ価格の7〜8割を予定金額として設定)、もしくは2社以上の業者を選定し下見積をとり予定金額を設定)
B契約執行伺書作成(財務会計システムで契約執行伺書を作成し、決裁をとる)
C指名通知及び仕様書渡し(指名業者に契約内容の仕様書及び見積合せの日時を、FAXの送付又は資料の引き取りにより通知する)
D見積合せ(指名業者の出欠を確認し時間がきたら見積合せを行う→予定価格以下で最低金額を入れた業者が落札業者)
E契約締結決定、伺書作成(財務会計システムで契約締結決定伺書を出力し、決裁をとる)
F請書(契約書)作成(請書兼納品書、請書、完了届等出力し、業者に渡す)
G納品後の検査・支払(納品したら請書兼納品書(または請書、完了届)、請求書等を業者より受け取り、検査確認後、支払処理へ)
単価発注の流れも併せて解説します。
詳しくはこちら:主管課で契約を結ぶ場合の流れとは|公務の単価契約の請書など
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登録業者、未登録業者と結べる契約の種類
自治体内の登録業者でできる案件については、自治体内の産業を活性化させるため、自治体内業者を優先して選定します。
登録業者は「物品」「工事」の2種類があり、「物品」登録業者との工事契約や「工事」登録業者からの物品買入れはできないことになっています。また登録は定期的に更新手続きが必要です。
登録業者は「競争入札参加資格」を持ちます。
競争(入札、見積合せ、価格調査等)により契約の相手方を選ぶ場合は、指名業者登録名簿に登載されている業者からしか選ぶことができません。(※競争に適さない特命随意契約による場合のみ、例外)
未登録業者、未更新業者との違いをまとめると以下のようになります。
登録業者:競争可、特命随意契約可
未登録業者:競争不可、特命随意契約可
未更新業者:競争不可、特命随意契約可
契約の方法として、
@ 入札に関する公告を行い、一定の資格を有する不特定多数の希望者を競争に参加させる「一般競争入札」
A 資力信用その他について、適当であると認める特定多数の者を登録業者の中から選定し競争に参加させる「指名競争入札」
B 競争の方法によらないで、任意に特定の相手方を選定し契約する「随意契約」
の3つの方法がありますが、それぞれメリットとデメリットがありますので、注意しましょう。
詳しくはこちら:公務員の契約事務で知っておきたい「契約締結方法」と「契約の種類」
契約係に契約締結を依頼する流れ
契約の種類や金額によっては主管課で直接契約が出来ない場合があります。
その場合は以下のような流れで契約係に依頼をして、契約を結びます。
@契約内容の決定(購入物品、納期)
A予定金額の設定(下見積もり)
B契約締結依頼書作成(財務会計システムで契約締結依頼書を作成、部長決裁)
※ここまで主管課がやって、契約締結依頼を契約係へ提出すると、以下を契約係が行います。
C業者選定(資力信用などを考慮した上で、入札に指名する業者を複数選定し、決裁)
D指名通知及び仕様書渡し
E予定価格の設定(主管課の予定金額をもとに、社会情勢などを考慮し、予定価格を設定し、決裁)
F質問の受付と回答、同等品の確認(指名業者から、その案件に関する質問を受付する。質問の内容によって、主管課へ回答作成依頼。)
G入札
H契約締結決定伺書作成(財務システムに必要事項を入力し、契約締結決定伺書を出力する)
I契約書作成(契約書、完了届等出力し、業者に渡す)
J契約書受理(契約書、完了届等を業者より受け取る→契約書、契約締結決定伺書を決裁)
K主管課へ一式を返却
詳しくはこちら:契約担当課に契約締結を依頼するときの注意点と流れ|公務の契約事務
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