会計事務における期間計算について

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会計事務における期間計算について

1 期間の計算方法(民法第百三十八条)

私法上の期間の計算方法は、民法第百三十八条の規定に従い、法令若しくは裁判上の命令又は法律行為(以下「法令等」といいます。)に別段の定めがある場合(※)を除き、民法第一編(総則)第六章(期間の計算)の規定(以下「期間計算の通則」といいます。)に従います。
また、公法上の法律関係についても、大審院による判例(昭和5年(フ)第4号・昭和5年5月 24 日判決をいいます。)を踏まえ、この期間計算の通則が適用されます。
期間計算の通則は、将来に向けて期間を計算する場合だけではなく、過去に遡って期間を計算する場合にも類推適用されることとなります。
※ 法令に別段の定めがある場合の法令の例は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四十三条第一項、年齢計算ニ関する法律(明治三十五年法律第五十号)第一項等があります。
また、法律行為に別段の定めがある場合の法律行為の例とは、契約等の法律行為をいいます。

 

2 時間をもって定めた期間の起算と満了(民法第百三十九条)

時間(時・分・秒をいいます。)をもって定めた期間は、時間に従って計算します。
このように定めた場合は、即時これを起算し、定められた時間をもって満了とします。
また、今から 24 時間後と規定した場合も、1日をもって定めた期間とは解釈せず、時間によって定めた期間と判断します。
このことにより即時起算し、24 時間後に満了することとなります。

 

3 日・週・月又は年をもって定めた期間の起算と満了(民法第百四十条及び第百四十一条)

日・週・月又は年をもって定めた期間は歴に従って計算します。
このように定めた場合は、期間の初日は、原則算入しません。
これを「初日不算入の原則(又は初日不算入)」といいます。
ただし、法令等に別段の定めがある場合又はその期間が午前零時(※)から始まるときは、初日不算入の原則の例外として、初日を算入します。
また、期間末日の終了時間は、24 時をもって終了するものとします。
※ 「その期間が午前零時から始まるとき」とは、次のときの例をいいます。期間をその初日の午前零時までに定めた場合は初日算入とし、その初日の午前零時1分から午後 11 時 59 分までに定めた場合は初日不算入となります。
@ 期間の初日の前日以前に、あらかじめ期間を定めたときは、その初日から、その期間が起算されると解釈されます(初日算入)。
A 期間の初日の当日(その日の午前零時1分以降をいいます。)に期間を定めたときは、その初日の翌日から、その期間が起算されると解釈されます(初日不算入)。
B 期間の初日(その日の午前零時に限ります。)に期間を定めたときは、その初日にその期間が起算されると解釈されます(初日算入)

 

4 期間計算の適用に当たる注意について

期間計算の適用の解釈に当たり、注意が必要な点は、主に次に掲げるものとなります。
(1) 当該期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日(以下「休日等」といいます。)に当たるときは、当該休日等の翌日(翌日以後も休日等が連続するときは、最後の休日等の翌日)を期間の末日とします。
また、この場合において、12月 29 日から 31 日までの日は、最高裁判例(※)によると、その他の休日には含まれません(※)。
つまり、日曜日を除き、12 月 29 日から 31 日までは休日等に該当しません。
また、金融機関は土曜日・日曜日を除き 12 月 30 日まで営業をしています。
請求に係る納期限の末日が 12 月 29 日であった場合、納期を遅延していることとなります。
※ 判例では、「(12 月 29 日から 31 日までは、)官庁の休日ではあるが、一般国民がこれを休日とする慣行が存するものとは認められない」とされ、裁判所では、民法第百四十一条に規定するその他の休日に該当はしないとしています。

 

【根拠】
29 日:最高裁(昭和 43 年9月 26 日判決、昭和 43 年(オ)648 号)
30 日:最高裁(昭和 43 年1月 30 日判決、昭和 41 年(ク)88 号)
31 日:最高裁(昭和 43 年4月 26 日判決、昭和 42 年(オ)927 号)

 

(2) 市では、行政庁(※)に対する、申請、届出その他の行為の期限で、条例又は規則で規定する期間の末日が、休日に当たるときは、休日の翌日を期間末日とします。
※ 「行政庁」とは、行政主体の意思を決定し、かつ、これを外部に表示する権限を有する行政機関をいい、市では、市長、教育委員会、選挙管理委員会、農業委員会、監査委員、福祉事務所長などをいいます。
※2 公法行為が対象となり、私法行為は対象となりません。
※3 行為の期限以外であって、行為の禁止行為、許認可の有効期間、委員の任期などは対象となりません。
※4 起算日からの期間計算により得られた期間の末日が期限となるものに限ります。具体的な日を掲げて期限を示すものや遡る計算方法によって期限とするものは、対象となりません。

 

(3) 「〜から」とした規定は、原則初日不算入となります。
ただし、あらかじめ具体的に期間を定めるような場合(※)は、午前零時から始まると解釈し、初日算入となります。
※ あらかじめ具体的に期間を定める例として、4月中に「5月2日から3日間」と規定があった場合は、5月2日の午前零時から始まると解釈し、初日算入となります。ただし、届出義務発生から3日間とした場合には、届出義務発生が、午前零時から始まる別段の事由がない限りは、初日不算入となります。

 

(4) 「24 時間」とした規定は、時間を持って定めた期間と解釈し、この期間は暦による計算はせず、即時起算し、定められた時間をもって満了します。
このため、初日算入又は初日不算入といった判断の必要がありません。

 

5 その他期間計算に係る注意点

「経過する日」と「経過した日」
「経過する日」と「経過した日」は、ほぼ同じ意味となりますが、法令上は、基準日以前を規定する場合に「経過する日」と、基準日以後を規定する場合に「経過した日」とすることとしています。
これらの規定例としては、次のとおりとなります。
(1) 「1月1日から起算して3日を経過する日以前」 1月3日午後 12 時 00 分 00 秒以前
(2) 「1月1日から起算して3日を経過した日以後」 1月4日午前 零時 00 分 00 秒以後

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