出納整理期間及び出納閉鎖期日

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出納整理期間及び出納閉鎖期日

(1) 出納整理期間(地方自治法第二百三十五条の五及び会計規則第十一条)
「出納整理期間」とは、地方自治法の規定により、普通地方公共団体の歳計現金の出納を整理するために設けられた期間(会計年度の翌年度4月1日から5月 31 日までの期間)をいい、その期間は、当該会計年度の未収金及び未払金の整理(※)を行なえるよう定めてられています。
これは、企業会計にはない特殊な制度となっています。

 

出納整理期間は、現金の出納そのものを整理する期間であるため、この期間の間に既に経過した会計年度の収入にかかる新たな調定及び支出にかかる新たな支出負担行為は、原則行うことはできません。

 

また、会計年度所属区分における随時の収入に当たるものの調定は、年度内でなければならないとされています(行政実例(昭和38.12.19 自治丁行発第93号。各都道府県総務部長宛 行政課長通知のうち。))。
また、会計規則等では、出納整理期間にかかる収入通知及び支出命令書の会計室への送付期限は、会計年度経過後の4月20日頃(この日が休日の場合はその前日)までとしています。

 

※ この未収金及び未払金の整理には、次のような整理があります。
@ 調定
・ 旧会計年度中に歳入の調定をした収入金の誤り等にかかる追加又は減額の調定
・ 旧会計年度中に事実上調定を行っていたが、財務会計システムによる調定決定書の起票を忘失したことにかかる調定
・ 旧会計年度中に属する歳入にかかる延滞金等の調定(地方自治法施行令第百四十二条第三項に該当する経費の調定をいいます。)
・ 旧会計年度に歳入予算を計上した地方交付税、地方譲与税、地方債、交付金、補助金等に係る調定(地方自治法施行令第百四十二条第三項ただし書に該当する経費の調定をいいます。)

 

A 収入
・ 旧会計年度中又は出納整理期間中に、旧会計年度分として調定が終了している歳入にかかる未収金の収納
・ 旧会計年度分の歳出であって、過誤払となった金額をその歳出科目に戻入

 

B 支出
・ 旧会計年度中に完了検査が終了している契約にかかる未払金の支出
・ 旧会計年度分の歳入であって、過誤納となった金額をその歳入科目から還付

 

C その他旧会計年度分の歳入予算及び歳出予算にかかる歳入又は歳出科目の科目振替

 

※2 現在日で調定決定書を起票し、文書管理システムで電子決裁を受けます。このときの回議ルートは、新年度の回議ルートで受けます。

 

出納整理期間に調定する事例 文書システム等の起案日
旧会計年度中に起票した調定決定書の金額の誤り等に係る金額の増額調定又は減額の調定 現在日(ただし、出納閉鎖期日まで)(※2)
旧会計年度中に事実上の調定を行っていたが、財務会計システム等による調定決定書の起票の忘失等に係る調定 現在日(ただし、出納閉鎖期日まで)(決裁伺いには、経緯も併せて記載してください。)
旧会計年度中に属する公債権の本債務に係る延滞金等を新たに収入したことに伴う調定 現在日(ただし、出納閉鎖期日まで)(※3)
旧会計年度に歳入予算を計上し、かつ、調定根拠たるその決定通知等が出納整理期間中になって通知された場合の地方交付税等の調定 現在日(ただし、出納閉鎖期日まで)(※4)

 

 

※ 「調定月に遡ることができない日以後」とは、会計規則等の規定による事後調定の期限をいいます。
つまり、調定月の翌月5日頃以後の日をいいます。

 

※2 出納整理期間中に調定額を異動させる場合の日付(「地方財務実務提要 第1巻」(ぎょうせい)P2689)
「出納整理期間はあくまで調定行為が終わり、調定額が固まったものについて、その未収を整理するための期間として便宜上設けられているものであると考えられること、また、調定の整理行為は、調定とは異なるものの、調定額を変動させるものであることに変わりがなく、さらに調定の手続の例によって行うものとされていることから、調定整理行為について、年度内に行わなければならないという調定行為の原則に対する例外を特に認めたものとは解しにくいと思われますので、B説(出納整理期間中の整理行為を行う日付は、旧年度中までとする考え方)の方が適当であると考えられます。」という考え方も踏まえ、できる限り年度末までに調定をし、決裁を受けるようにしてください。

 

※3 「地方自治法Q&A」(第一法規出版株式会社)
質問「本税に付帯して収納する延滞税等についても、調定の日付けは3月31日に遡らせて処理する必要があるか?」
回答「延滞金等の付帯収入については、本税の調定と同時に調定されているものと解される。したがつて、設問の調定とは単なる調定の整理行為であると解されるので、その日付は必ずしも年度内である必要はない。すなわち、地方自治法施行令第一四二条第三項の規定は、本収入とこれに付帯して歳入される督促手数料、延滞金および滞納処分費が所属年度を異にすることの不合理をなくすために設けられた特例規定であるが、会計年度経過後において調定することまで許容したものではない。そこで、督促手数料等の付帯収入の調定については、本収入が調定された時点において同時になされたものと観念し処理することになるものと解される。したがつて、出納整理期間中に延滞金等を現実に収納するために行われる調定は、既に本収入と同時になされた調定の整理行為であると解されるので、その日付は年度内である必要はない。」

 

※4 地方交付税等の調定であっても原則その会計年度中に調定をすべき原則に変わりありません。
これは、調定根拠が会計年度中に届かなかった場合の便宜的措置となります。

 

※5 起案日及び決裁日が区の閉庁日に当たる場合は、当該の閉庁日の前日を起案日及び起票日とします。

 

※6 収入は、地方自治法第二百三十一条の規定により、政令の規定により調定をしなければならないため、未調定のまま、その会計年度の出納整理期間を経過した収入は、新会計年度にその現在日で調定をすることとなります。以後、さらに、その新会計年度を経過した場合も、同じように、さらに翌会計年度以降に現在日で調定をすることとなります。

 

(2) 出納閉鎖期日(地方自治法第二百三十五条の五)
「出納閉鎖期日」(「出納閉鎖日」ともいいます。)とは、納整理期間の終期日である会計年度の翌年度5月31日をいいます。
この日をもって当該会計年度の出納が閉鎖されます。
また、この日は、市の閉庁日であっても動きませんが、市の閉庁日は一部を除き市の出納事務が行われないことから、実際上は、出納閉鎖期日が市の休日(※)に当たる場合は、その前日の市の開庁日を事実上の出納閉鎖期日として事務処理を行っています。

 

出納閉鎖期日(事実上の出納閉鎖期日を含みます。以下同じです。)の翌日以後は、前年度の会計年度に属する歳計現金の出納(※2)は一切できなくなります。
また、出納閉鎖期日までに整理が終わらない未収金又は未払金は、次年度における過年度収入又は過年度支出として処理するものとします。

 

※ 土曜日、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)の休日並びに12月29日から1月3日までの日をいいます。
※2 歳計外現金や基金には、出納整理期間のはありません。会計年度終了日である3月31 日の翌日以後は、終了した会計年度の出納を動かせません。

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